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本「アメリカが嫌いですか」 by 阿川尚之

父親の影響で、幼い時から日本にいながらにしてアメリカの空気に接する機会の多かった著者が、アメリカに留学してどんな青春時代を過ごしたかを書いた前半部分と、彼がアメリカでロイヤー(法律家)として暮らすようになってからのことを書いた後半部分とから成る。

英語がまだあまり話せない中学時代に入院した病院で同室となって親しくなったアメリカ人の話、留学したものの、英語力がネイティブとは違うので苦労しながら、アメリカ人とつきあっていく話などは、今の私の状況と重なるところもあって、大変おもしろく一気に読んだ。

後半部分になると、文がいくぶん散漫な感じになったが(前半がとてもおもしろかったのでそう感じるのかもしれない)、ところどころ私には大変興味深い部分があった。

注意すべきは、アドヴァーサリーシステム(アメリカにおける紛争解決の型。裁判がその典型。)を通じて真実を発見する過程において、ロイヤー自身は真実が何かについて判断する立場にないことである。真実はこうだと異なった主張をするのがロイヤー、真実はこれだと決めるのは陪審員であり、(中略)...前者はプロだが後者は素人だ。日本人は人を死刑に処するかどうかを素人の判断に任せていいものかと思うが、アドヴァーサリーシステムでは逆にそんな大事なことをプロだけに判断させてはならないと考える。(中略)...これほどロイヤーが多くプロフェッショナルがもてはやされるアメリカで、プロに対する根本的な不信があることは、覚えておいてよい。 (文庫版 p.165)

アメリカの法システムについてはもっと知りたいと思う。

1991年の湾岸戦争。「アメリカが開戦を決意した日」という章も、それまでにどんな議論が交わされたのか、というのを知るうえで興味深かった。
また、その開戦が間近い頃、ある牧師のもとへ、戦地周辺に赴任している兵士から届いた、という手紙も興味深いものだった。

もし私のために祈ってくださるなら、二十人の海兵隊員を率いて戦うという重責を私が果たせるよう、お祈りください。いざとなったら正義のために人を殺すおそろしさに耐えられるよう、祈ってください。私が一人一人の若者を家族の下へ無事送り返せるように、祈ってください。...(p.289)

ただ、この手紙を書いた人が、もう少し想像力をたくましくすれば、敵の兵士にも家族があり、それぞれの人生がある、ということを考えられたはずだと思うけれど。まあ、だからこそ「人を殺すおそろしさ」と書いているのかもしれないけれど...

湾岸戦争は、悪者フセインからイラクの民衆や隣国の人々を守る戦いだとアメリカの人々は信じていた。兵士達の士気も高かった。しかし、ベトナム戦争の時は、兵士達は、自分が何のために戦っているのかわからなくなっていた。そして、今はどうだろうか...?

ユダヤ人の考え方を紹介しているのもおもしろかった。

著者は、この本のタイトルの問いに対して、明確な答えを書いている。
私は著者のように、はっきりとイエスノーで答えることはできない。大国主義というか、傲慢さを感じる部分は確かにあるし、でも、合理的な考え方や個人・自由を尊重する考え方がすごく好きでもある。個人的に知っている人々もいろんな人がいるので一概に好きとか嫌いとかは言えない。ただ、日本政府のやり方が好きではなくても、私は「日本が嫌いではない」から、この本の問いに答えるとすれば「アメリカが嫌いではない」とは言えそうだ...


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