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本「バカの壁」 by 養老孟司

「話せばわかる」というのはウソだ、人間がわかりあえないのはどうしてか、について書かれた本だ、というような話を聞いて読んでみたい、と思った。すごく人気があるようで、図書館でリクエストしてから借りられるまで、数ヶ月待った。

で、私の疑問が解けたかというと...書いてあることのすべてがすんなりおちる、という感じの本ではなかった。著者が一番言いたいのは、結局、人間はまちがう存在だ、だから一元論的に物事を考えるな、正解はひとつではないのだ、ということ?これは著者が話したことを新潮社の編集部の人が文章化した本だそうで、結構話があちこちにとんで、だからわかりにくいところがあるのかもしれない。まあ、もともと、答えを求める、というのが無理な話なのだ、というのが著者の言いたいことなのかもしれない。

おもしろいと思ったのは、脳の一次方程式の話。
脳への入力を x 、出力を y とすると、y=ax という式が考えられる。a という係数は、著者は「現実の重み」と書いているが、脳の中にある、その事物への興味というようなもの、と考えればいいのかな、と思う。それは人によって非常に違っている。だから、同じ入力があっても出力が違ってくるのだ。a がプラスの値であれば、それに関する入力があった時には大きな反応が起こるし、a がマイナスの値であれば、それを避けようとする方向に反応が起こる。が、問題は a がほとんどゼロという場合だ、と著者はいう。その場合、入力があっても何の反応も起こらない。自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。これがたとえばひとつの「バカの壁」。

その説明はなるほど、と思うのだけど、教育批判や教師批判とかになると、うーんそうかなぁ、と思ってしまった。たとえば、「個性をのばせ、なんてたわごとだ」と言うんだけど、「回答はひとつじゃないよ」と言ってる著者の意見と矛盾するような。実は矛盾しないんだ、と言われたとしても、なんか言葉遊びの感じがしてしまって、どうでもいい気になる。

犯罪者の脳を調べよ、という主張についても、そのとおり、と私には言えない。キレる脳には特徴がある。衝動殺人犯の脳は前頭葉機能が落ちていた。つまりガマンがきかない。これに対し、連続殺人犯は前頭葉機能は普通だが、扁桃体という善悪の判断等にかかわる部分の活性が高い。そういう研究結果は確かに興味深いけど、そういう脳の特徴をもっているから必ず犯罪を犯す、というものでもないだろうし、検査結果がどのように扱われるかについては不安を感じる。このことは著者も述べてはいるのだけれど。

この本の中で紹介されていた三沢直子著「殺意をえがく子どもたち」というのは読んでみたい。子どもに「人間」「木」「家」の三つの絵を描かせたとき、1981年と1997年では明らかに違う傾向が見られたそうだ。

そんなにわかりやすい本でもないのに、こんなに人気があるのは、「話せばわかるなんてウソだ」と感じている人が多いっていうことかな。話してもわからない、通じない、というのは多分多くの人が経験していて、どうしてなんだ、どうにかならないのか、という思いがあるのだろう...そして始めのほうにも書いたけど、この本がその答えを与えてくれてるわけじゃない。脳の係数がゼロで関心がないのだから、話してもわからないのだ、といわれても、多くの人はそれで終わらせたくないと思っているだろう。だからなんとなく読後感もすっきりしないのだ...

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コメント

心理虐殺の恒久停止を

心理技術の脳破壊方法としての悪用が、戦後隠され続けてきました。
きわめて苛酷な拷問が何十年にもわたって加えられ、被害者の人生を
取り戻すことはおろか、まれにしか回復を望むことはできず、文明化
された人々は脳への攻撃にもろく、実験動物とは比べものにならない、
激烈な苦痛を受けています。あまりに非人道的な人民虐殺の犯罪で、
この方法は国家的な安全とは無縁にもかかわらず、遠隔技術の利用や
スパイ活動など、さまざまな手段によって、虐殺活動が保護され、
隠蔽され続けています。原理上苛酷さにおいて、脳心理破壊を超える、
虐殺手段はあり得ないことから、この方法の恒久停止ことは、人類に
とって、第一に重要な確立すべき問題であり、きわめて迅速な対応が
要求されています。戦後新体制普及の中で、心理技術の偏向した利用が
あり、そのなかで、最悪の虐殺方法だけが、不思議なことに隠され続けて
しまったという悲劇があります。誰かが声を上げなければ、この催眠的
社会破壊の進展は終わりません。何も知らない市民や子どもが、とめど
なく脳心理破壊を加えられている状況です。過去の油断から生じた、
虐殺はますます拡大しようとしています。今これを止めることが必要です。


STOP MIND CONTROL ULTRA-GENOCIDE
http://aja.mirai1.com/

後藤 貴裕

投稿: GOTO | 2006.10.14 11:56

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