« 遅刻! | トップページ | 誤配 »

本「心理療法個人授業」by 河合隼雄 & 南伸坊

一日が26時間あったら…。:河合先生の魅力で紹介されていた本で、"イラストライター"の南伸坊さんが生徒、河合隼雄さんが先生。南さんがいろいろな心理療法についての疑問を河合先生にぶつけ、先生がそれに答えていく、という形で、大変読みやすくおもしろい本だった。南さんの描かれているイラストも、河合先生やご自身の似顔絵がとても似ていたり、と楽しいものだ。

心理療法個人授業
河合隼雄著・南伸坊著

とりわけ興味深かったのが、南さんの質問「ウツになったりハイになったり、というような症状も、脳内の化学物質の過不足やら働きが阻害されているのが原因で、それを補う薬もある、と聞いている。ところが、精神病で通院している知人の話を聞いていると、どうもハカバカしくない。薬物投与によって治す、ということと、カウンセリングで治すというのは、どういう関係になるんでしょうか」に対しての河合先生の答え。「薬物の場合は治すのではない。緩和するのだ。」ということ。

たとえば、腸チフスの人のチフス菌を殺す、これは一番はっきりした治療ですね。癌になった人の癌を切除する、これもはっきりした治療です。 ところが、妄想や不安、これは抑えているだけです。簡単に言うと、ちょっとやわらげる。イライラする脳の働きを、ぼやっとさせればイライラしない。それは緩和している。 イライラを治したわけじゃない。そこをみんな間違うわけです。根本的には治してない。それがわからない。 ただ、妄想の人にその薬をのましたら、妄想がなくなっていくことがわかっています。そのかわり、ひょっとしたら、その人は妄想がないために、すごく苦しんでいるかもわからない。 苦しみというのは、表現できるヤツは一番簡単でしょう。ぼくは苦しいとか、死ぬとか。表現できない苦しみというのがある。何も言わなければ、苦しいかどうかもわかりません。 妄想、ない。暴れない。じっとしておられる。よかったねと言うけれども、本人は実はものすごい苦しいのではないかとぼくは思っています。 ものすごく簡単に言ったら、暴れると言ったらものすごく重い石を持たしたらいい。その人は動かなくなります。薬というのは、これと似たようなもので、根本的解決になっていない。(p.157-158)

どうも、心理療法とかカウンセリングとか、あまり「科学的」なイメージがないのだけれど、でも、何か心の問題を抱えた人が問題を解決するのに役にたっている部分はあるようだ。

学者は「どうしてそういう症状がおこってくるのか」ということを研究する。身体器官には何も問題がないのに、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりする。フランスのシャルコーという人は催眠をかけるのがうまくて、なんでもない人にこうしたヒステリー症状を起こして見せ、心の問題からこういう身体機能の障害が起こるんだ、ということを示した。だが、彼はそれを治療する気はなかった。フロイトは医者だったので、治したい、と思った。当時の医者が、「ヒステリーは医学の病気ではない」と相手にしなかったところを、なんとかしようとした、そこがすごい。

というわけで、フロイトのこともちょっと知りたいな、と思う。

|

« 遅刻! | トップページ | 誤配 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この本、読み終わりました。なかなか、面白かったですね。
また、面白い本、紹介してくださいね^^

投稿: ぴよ♪ | 2004.12.06 15:55

ぴよさん、どうも(^^)。
楽しんでいただけたようでよかったです(^^)。
南伸坊さんは、先生の話をひきだすのがうまいですよね。

私はこの後「フロイト入門」というのを読み始めたのですが、
おもしろくなくてやめてしまいました。
「入門」なのに「このくらいのことは知ってるだろう」という
前提があるようで、なんかわかりにくいんです。

その点、この本は、まったくの初心者にもわかるように説明
されていて読みやすかったなぁ、と思います。

投稿: じゃりんこ | 2004.12.06 16:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17663/2025361

この記事へのトラックバック一覧です: 本「心理療法個人授業」by 河合隼雄 & 南伸坊:

« 遅刻! | トップページ | 誤配 »