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映画「アボン・小さい家」Abong:Small Home

フィリピンの日系人一家の暮らしを描いた物語で、監督は今泉光司氏。見に行こうと思ったのは、私の職場でのパートナーが,、今ふたりともフィリピン出身だし、彼女達の国のことを少し知りたかったから。それと、日系人が主人公、というのにも興味をもった。実は、自主制作の映画のようなものかと思っていて、それほど内容には期待していなかったのだが、長い準備期間を経て、多くのフィリピン人及び日本人スタッフによって撮られたもので、いい映画だった。

フィリピンルソン島北部の町バギオに住む日系フィリピン人ラモットとその一家。バギオというのは、私は知らなかったのだが、かつては大きな日本人町があったそうだ。今日、同僚のフィリピン人に聞いてみたら、大きな町で、フィリピンの夏の首都だという。ラモットは、ジプニー(乗合タクシー)の運転手をして生計をたてていたが、3人の子ども達の教育のことなどを考えると、経済的な余裕がない。そこで、彼の妻が、外国へ出稼ぎに行くことになった。

フィリピンで外国に出稼ぎに行っている人たちは本当に多いようだ。同僚のJも、ふたりの子どもをフィリピンの彼女の母親に預けて日本に来た。彼女の場合は、ご主人が亡くなったので、そうせざるをえなかったらしい。それでも、子どもを置いてくるなんてちょっと信じられない、という気がしていたのだけど、きっとそれがフィリピンの現実なのだろう。映画の中でも、母親が出かける時、子供たちが泣いてすがっていたが、彼女も相当つらい思いをしてきたのだと思う。

映画では、出稼ぎに出た母親はパスポート偽造で逮捕され、強制送還される。外国に出稼ぎに行くには、仲買業者にかなりの額の口利き料を支払わねばならず、そのために莫大な借金をしたラモット一家は途方にくれるー。

ネタバレになってしまうので、あまり書かないが、フィリピンの都会と田舎の暮らしが鮮やかに対比されて描かれる。毎日登る朝日、美しい夕日。それらを眺められる幸せ。電化製品が村に入ってきても、その電気代を払うために、どうやってお金を稼ぐか心配しなくてはならない。便利さとは、豊かさとは何なのか。便利な暮らしをするためにアクセクすることが豊かな生活といえるのだろうか。

映画の上映にさきだって監督の挨拶があり、上映後には質疑応答があった。脚本は、今泉監督とフィリピンの方との共同執筆ということだったので、映画の訴えたいこととは矛盾しているように思える結末について尋ねてみたところ、「ハッピーエンドにしたかったが、できなかった」ということだった。確かにそれが現実なのかもしれない。問題がそんなに簡単に解決するわけじゃないのだ。

映画の中にちょっと出てくる「バハイ・クボ」(Bahay Kubo) という歌は、タガログ語で「小さい家」という意味で、フィリピンではよく知られているそうだ。同僚のふたりに聞いてみたら、ふたりとももちろん知っていて、出だしを歌ってくれた。後半は、野菜や果物の名前が列挙される歌だという。そんな自然の恵みの豊かな国なのだ。歌詞を見つけたので、また彼女達に意味を訊いてみよう(^^)。

「アボン・小さい家」公式サイトはこちら

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