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映画「スパングリッシュ」Spanglish

スパングリッシュとはスペイン語と英語のまじった言葉で、スペイン語勉強中の私としては興味をそそられて見に行った。

メキシコからアメリカに移住してきた美しい親娘。母親(フロール)が裕福なアメリカ人家庭のメイドとして働くようになり、夏の間、バケーション先に住み込みで働いてほしいと言われて、12歳の娘クリスティーナも連れて行く。母親は英語がほとんどまったく話せないのだが、娘は流暢な英語を話す。雇い主である女主人は、フロールの娘を気に入っていろいろと世話をやくのだが...というような話。

スペイン語には字幕がつくのかな、と思っていたのだけど、それはまったくなし。ただし、スペイン語だけの会話の場面は限られていて、多くの場面では、フロールの娘や誰かが登場して英語に訳すので、特に問題はない...って、私の場合は、英語が完璧じゃないので問題ありだけど(^^;)。

というわけで、もし、字幕つきで見たら感想が変わる可能性もあるけれども...

母親フロール(パス・ベガ。ペネロペ・クルスに似たとてもきれいな人)がまったく英語を話せない、という設定は、彼女が既に何年かアメリカに住んだ後のことなので、そこがいくらスペイン語の通じる町であったとしても、不自然な感じはする。Hello や Thank you というような言葉すら、雇われ先の家庭でスペイン語で話すというのはちょっと考えられない。でも、それは極端だとしても、確かに、英語を話せない親と英語(二ヶ国語)を話す子ども、というのはよくある構図で、フロールが、わからない英語にドギマギする姿には、英語圏で同じような思いを経験したことのある者にとっては、つい自分を重ねてしまう。

私は、もっと、メキシコ的な文化とアメリカ的な文化のぶつかりあいのようなものがあるのか、と思っていたのだけど、文化的摩擦というよりは、フロールがアメリカ人であったとしても、起こりうる感じの摩擦がテーマだった。ただ、その場合、英語が通じるから、それほど大きな摩擦にはならなかったのかもしれない。やっぱり、言葉によるコミュニケーションがうまく機能しない関係で起きてくる摩擦なので話がおもしろくなる、というところはあったかな。

(以下ネタバレ)

親の許可を得ずに、勝手に子どもを連れ出して、ヘアスタイルを変えてしまったり、というのは、フロールでなくても、常識あるアメリカ人なら腹をたてるだろう。雇い主であるクラスキー家の女主人デボラに悪気はなく、クリスティーナが可愛いからこそいろいろ世話をやき、私立学校に入れる面倒までみてしまう。フロールも、娘の幸せを思って私立学校へやることに同意するのだが、最終的には、メイドの仕事をやめて、娘にも私立学校を退学させる。

このことに関して、インターネットムービーデータベースで興味深い論争があった。
「私はこの映画を見てないけど、映画の中で、ヒスパニック的伝統に反するから、とかいう理由で、娘が私立学校へ行く機会を親が奪ってしまったというのは本当?だとしたら、そういうのは許せない。子どもがよい教育を受ける機会を奪う親は悪い親で、議論の余地はない。」
これに対し、「お金をかけたからって必ずしもよい結果が得られるわけじゃない。お金のかかる学校に通わせていることがよい親であることの証明にはならない。私立学校に通いだしてからのクリスティーナの変わりぶりを見てごらんなさい。母親は、娘に悪い影響が及ばないように守ろうとしたんだ。」というような反論があって、なるほど、と思った。

英語が流暢に話せてどんどんアメリカナイズされていく娘に対し、それとは違う価値観があることを示した母親。アメリカにはいろいろな人たちが暮らしているけれど、それぞれのルーツとかアイデンティティとか、コメディを楽しみながら、そういうことを考えさせられる映画だった。

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コメント

こんにちわ。
タイトルで通りすがりに見つけました。
Spanglish、私の友達のコロンビア人も話します。
イギリスからアメリカのことを言うのはなんですが、噂による
と、ヒスパニック・コミュニティーにいれば英語を全然使わな
くても生活できるので、ほとんど英語のできない人もいる、と
いうこともあるらしいです。そして、米国に住んでいながらス
ペイン語しか話さないコミュニティーがちょっと問題にもなっ
てきているらしい(ワシントンポストかなんかに数年前にあり
ました)です。

投稿: Sirius Black | 2005.01.08 00:40

Sirius Black さん、コメントありがとうございます(^^)。

なるほど、ヒスパニックコミュニティではスペイン語だけの生活が可能なんですね。そういえば、知人が「数年間ロスに住んでいたけど、結局日本人とばかりつきあってて英語は上達しなかった」というようなことを言ってました。

ただ、「こんにちは」とか「ありがとう」くらいは雇い主の家で英語で言うほうが自然だろう、と思ったのです。いくら英語が話せなくても、普通、ある程度コミュニケーションをとろうとする努力はするものじゃないか、と。でも、それも私の日本人的感覚なのかもしれません。

日本では公開されるのかなぁ。DVDが出たら字幕つきで見てみたいです。

投稿: じゃりんこ | 2005.01.08 10:05

ん~、どうなんでしょうね。確かに、挨拶くらいはしてもよさ
そうですよね。・・・よっぽど英語が嫌い、とか?
私も見てみたいので、探してみようと思います。

投稿: Sirius Black | 2005.01.08 23:40

Buenos dias とか Gracias とかはアメリカ人もみんな知っている言葉なので、映画製作者が意図的にフロールに話させるようにしたのではないか、という気もするんですが。

ご覧になったらぜひ感想をコメントまたはトラックバックしてくださいね(^^)。イギリスの人達の反応も知りたいです。

投稿: じゃりんこ | 2005.01.09 00:08

はじめまして!
いきなり質問で申し訳ないんですけど、Spanglishの予告編で流れてる曲を歌ってる人を知りたいんです!(できれば曲名も)
たぶんテーマソングだと思っていたんですけど。。高め声の男性の人なんです。
ずっと前に偶然どこかで流れてるこの曲が好きになったんですけど、
タイトルも誰が歌ってるのかもわからなくて、
外国の映画のサイトSpanglishの予告編を偶然見たときに流れてて、
これだー!!と思ってすごいうれしくなったんですよ~。笑)
それで、Spanglishの公式サイトにいってメールしてまで
この曲誰が歌ってるかを知ろうとしたんですけど、教えてもらえた曲名はさがしてもないし、
教えてもらったDamien Riceって人の曲に
Spanglishの予告編で使われてる曲は探してもなくて。。
だからたぶん違う人なんじゃないかと。。
映画の中にはきっと使われてるけど
テーマソングじゃないんじゃないかと思いましてずっとさがしてるんです!!(><)
なので、映画を見たじゃりんこさん!!ぜひ知っていたら教えてください!!

投稿: apple | 2005.01.27 01:55

apple さん、こんにちは。
ごめんなさい、わかりません。
明日、あさってと放送大学の試験のため、
今はちょっと調べる余裕がないので、
日曜にでも調べられたら調べてみますね。

投稿: じゃりんこ | 2005.01.27 20:41

apple さん、こんにちは。
予告編見てみましたが、やっぱりわかりませんでした(^^;)。
imdb のサイトでも、この映画のサウンドトラックに
関しては何も記述がないのですね。
というわけでお役にたてなくてすみませんm(_ _)m。

投稿: じゃりんこ | 2005.01.30 00:04

そうですか~。。
わざわざ調べていただいてありがとうございました~。
これからも探してみます!

投稿: apple | 2005.02.02 20:48

上記の「娘に私立学校を退学させた件に関する論争」は残念ながら見られませんでした。
が私見を一言。
「お金をかけたからって必ずしもよい結果が得られるわけじゃない。云々」といった反論を述べた人は「世の中の現実を何も理解していない」と自信を以て断言出来ます。
俗耳に入りやすい此の手の意見に瞞されて、公立学校に入ったが為に、大切な学齢期を劣悪な環境で過ごし、一生後悔している人々を何人か知っているからです。
「娘に悪い影響が及ぶ結果になった」としたら、それは安い公立校へ通わせるという愚かな選択をした親のせいでしょう。まして、この映画の場合、奨学金も出ており、娘当人も希望しているのですから、親の独断で優秀な私立学校へ行く機会を奪ってしまうというのは、愚の骨頂に他ならないと云っても過言ではありません。
綺麗事を開陳して自己満足している人物の偽善性には、しんそこ呆れ返らざるを得ません。

投稿: kiharunikiharu | 2011.02.06 00:36

kiharunikiharu さん、

お返事が大変遅くなって申し訳ありません。
ほんとですね、残念ながら、その論争、どこに行ってしまったか、ちょっと探せませんでした。

ずいぶん前に見た映画ではっきりとは覚えていない(^^;)のですが、私立学校に行った娘が、必ずしもよい傾向を示していない、と母親は判断したんだな、とその時は思いましたが。

また機会があれば同僚たちに公立と私立の違いについて聞いてみたいと思います。

投稿: じゃりんこ | 2011.02.12 22:21

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2005年1月 またまたアダム・サンドラーのコメディー。 日本は未公開らしい。(たぶん公開されないだろう。) アメリカに来た英語の出来ないメキシコ人がメイドと... [続きを読む]

受信: 2005.03.21 01:50

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