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ビデオ「誰も知らない」

見ているのがつらい映画だった。父親の違う4人の子ども達を連れた母親がアパートに引っ越してくるところから物語が始まる。母親は「夫は海外赴任中」「長男とふたりで住む」と嘘をつき、他の3人の子ども達の存在は近所の人には知らされない。こう書くと、母親がすごく悪い人のようだけど、母親役の YOU にはあっけらかんとした明るさがあって、物語の最初には悲惨な雰囲気はない。子ども達にとって外に出られないことはつらいことにちがいないだろうけれど、そんな生活のなかにも笑いがあって、家族は仲良く暮らしている。

ある日、母親は、「しばらく留守にする」というメモといくらかのお金を残して姿を消し、子ども達だけでの生活が始まる。

長男明は12歳。生活するには何をしなければいけないかがわかっていて、弟妹たちの面倒もよく見ている。とはいっても普通の男の子で、友達とも遊びたい。家事やら妹達の面倒ばかり見ているのに疲れることもある。長男はすごく心の優しい子で母親はすごく悪いヤツで...というような描き方になっていないところに現実感があり、胸にせまってくるものがある。

子ども達はみんな魅力的だ。カンヌで主演男優賞を取った明役の柳楽優弥君もいいけれど、他の子ども達の演技もとても自然で、ひとりひとりがいとおしくなる。おちゃらけ役の次男シゲル、おとなしくてなかなか感情を表にださない長女キョウコ、天真爛漫な次女ユキ。子ども達はそれぞれに性格が違う。

実際にあった事件をモチーフにした映画ということだが、ひどい母親を断罪するわけでもなく、こんな社会はおかしい、と声高に叫ぶわけでもない。子ども達の生活は悲惨な状態だけれど、まわりの人の善意に頼って淡々と生きていて、見かけほど悲惨ではない。「警察か福祉事務所の助けを借りれば?」とすすめるコンビニの店員に「そんなことしたら4人が一緒に暮らせなくなる」と答える明。そう、この子達はおたがいにささえあっていたのだ。主に明が弟妹の面倒を見る形になっているけれど、明もまた弟妹の存在にささえられていた。守るべきものがあると人は強くなる。

ただ、この母親のように、強くなれない人もいる...人間の弱さを責められないけれど、子ども達がお金のない状態でどうなっているのか考えられない想像力のなさは悲しい...

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