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映画「ホテル・ルワンダ」

久々に人に話したくなる映画を見た。「ホテル・ルワンダ」は、1994年、ルワンダで続いていたツチ族とフツ族の紛争が虐殺に発展したとき、あるホテルマンがとった行動に焦点をあてて描いた映画だ。2004年のアカデミー賞にノミネートされていたこの作品の日本での公開が見送られそうだ、と知って、インターネットを通じて「ホテル・ルワンダ日本公開を応援する会」というのができ、署名を集めて公開にこぎつけたのだという。昨日が初日で、今日、朝1番の回に見に行ってきた。上映時間の30分前に着いたのだが、シアターN渋谷の前は既に長い行列。なんとか立ち見の席(18席だけ)にすべりこんで見ることができた。

20分もの予告編が終わって本編が始まると、立ち見であることを忘れてしまうくらい、話にひきこまれいった。主人公ポールは、ある高級ホテルの支配人。彼はフツ族であったが、彼の妻は少数派のツチ族。従業員にもツチ族の者がいた。フツ族が勢力を伸ばしつつある状況のなか、彼は政治にはかかわらないよう注意して、誰ともビジネスライクなつきあいを心がけていた。しかし、フツ族によるツチ族への攻撃が激化して、自分の家族が危険にさらされる-

ハリウッドのメジャーな映画会社は、主演をデンゼル・ワシントンとかウィル・スミスにしたがったそうだが、 テリー・ジョージ監督はこれまで主演映画が一本もないドン・チードルでなければだめだ、と主張したのだと言う。それは正しい選択だったと思う。デンゼル・ワシントンやウィル・スミスがポールを演じていたら、この作品は「映画」のなかの世界のこと、と感じられて、現実感の乏しいものになっていただろう。実話に基づいてはいるが、ドキュメンタリーとして撮らなかった、というのもよかったと思う。こういう状況で、ひとりの人間としてどう感じ、どう行動するのか、ということがずっとリアルに伝わってきた。

虐殺の模様が世界に報道され、「これで世界の人が助けに来てくれるだろう」と期待するポール。それに答えるジャーナリストの言葉は耳に痛い。「人はあの映像を見て、「まあ、ひどい」と言ったあと、普通にごはんを食べ続けますよ。」... そのとおり、援軍が到着したかと思うと、白人を国外退去させただけで、虐殺を止めようとはしなかった...

それでも、現実を「知る」ことは何かを変えるための一歩にはなるだろう。虐殺の模様がニュースとして報道されても遠い世界のこととしか感じられない人が、たとえばこの映画を見ることで、実際に虐殺を見聞きした人の恐怖や混乱や悲しみを感じることはできるだろう。たくさんの人に見てほしい。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

初めまして。
ときどきこちらを訪問させていただいてます。
じゃりんこさんのこの記事?書き込み?
(すみません、いつまでたってもPC初心者なので)を読ませていただいて、関心を持ち、この映画を今日見てきました。
考えさせられる映画でした。
ありがとうございました。

投稿: まみ | 2006.01.29 20:51

まみさん、はじめまして(^^)。
わぁ、この記事を読んで関心を持っていただけたなんて嬉しいです。映画とか本とか、人それぞれ見方があると思うから、自分の感想を人に押し付けないように、と思っているんですが、時々、「ぜひ見てみて」と言いたくなる映画や本もありますね。このブログを始めたのも、おもしろい本を読んだことを誰かに話したい、というのが最初だったので、読んでくださっている方がいるというのは本当に嬉しいです。今年も、そんな映画や本にたくさん出会いたいですね(^^)。

投稿: じゃりんこ | 2006.01.29 23:49

はい、いろいろ教えてくださいな。
じゃりんこさんを取り巻く環境は、私にはものめずらしくて、楽しんで読まさせていただいてます。放送大学のお話も興味深く読んでます。<ホテル・ルアンダ>は、パンフレットも買っちゃいました。ルアンダの歴史も学べてよかったです。また、紹介してくださいね。

投稿: まみ | 2006.02.02 14:27

まみさん、どうも(^^)。読んでくださっている方がいると思うと本当に嬉しいです。今、いろいろおもしろそうな映画があるのでまた見に行きたいな、と思っています。

投稿: じゃりんこ | 2006.02.02 23:27

昨日、ケーブル・テレビでようやく「ホテル・ルワンダ」を観ました。 大体のあらすじは聞いていたのですが、ストーリーは思っていたのとまったく違っていました。 良くも悪くも主人公が知り得たこと、知り得た世界が描かれているからでしょう。

主人公たちがあまりに俳優さんらしいところ(しゃべる言葉も含めて)が、ちょっとリアリティーに欠けると思いましたが、やはり涙が止まらない場面がありました。 あと意識してかどうかわかりませんが、フツとツチはほとんど区別できないようになっていると感じました。 もちろん実際にも分からない方が当たり前なのでしょうが、典型的な人はわかるのかも知れないと…。 いや、ケニアやウガンダでの経験からの想像ですが…。

テリー・ジョージ監督は「父の祈りを」の脚本を書いた人だそうで、なるほどと思いました。

1999年にウガンダでマウンテン・ゴリラを見に行った観光客がフツのゲリラに誘拐され、8人が虐殺される事件がありました。 実はウガンダに出稼ぎに行っていて、ウガンダを出てケニアに向かう日にそのことがニュースになったので忘れられません。 フランス語をしゃべった人は助かり、英語をしゃべった人は殺されたという報道があって、フランスがフツを支持していたことをそのとき知りました。 この映画でもその辺りのことが明示されていますね。

投稿: axbxcx | 2007.09.21 11:38

axbxcx さん、

あ、そうなんですか。なんとなく、とっくにご覧になったのかと思っていました。確か近くの国に行っておられたことがあったなぁ、と思って。ミニシアターでの公開だったのに結構評判になりましたが、後から批判的な意見も少し聞きました。

確かに英語っていうところでリアリティに欠けるところはありますよね。事実関係に関しては私はよくわかりませんが...

ポールが大虐殺を目にして泣き崩れる場面が印象に残っています。

投稿: じゃりんこ | 2007.09.21 20:43

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