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本「自爆テロリストの正体」by 国末憲人

アルカイダの一員として自爆テロリストになるのはどういう人たちなのか。貧しく純粋なイスラム教徒がやむにやまれず自爆テロリストとなるのだろうか。筆者は、違うと言う。西欧社会で受け入れられず、疎外感を感じているアラブ系の人が、本来のイスラムではない過激なイスラム風の教えに救いを見出してテロリストになる場合が多いのだと言う。ちょうど、心に不安を抱えた若者がカルト教団に魅力を感じてしまうように。

アルカイダの主張を分析するとイスラム教本来の教えからひっかかる部分が少なくないそうだ。フランスでカルト教団対策をしているフルニエ氏は、「9・11テロをイスラム教と結びつけるのは、オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件を仏教徒のテロと呼ぶことと同じほどばかげているのではないか」と言う。(p.184) 9・11テロで旅客機を操縦していた容疑者が持っていた指示書を見ると、精神的に落ち込んでいる人を組織に引き入れ、組織の言いなりになる人物を作り上げていったのではないか、と推察される箇所がいくつも見つかるそうだ。

だとしても、何故アルカイダはテロを起こそうとするのだろうか、という疑問は残る。アルカイダのテロリストたちは確かに本来のイスラムの教えを理解していなかった人たちかもしれないけれど、パレスチナで生まれ育ち、自爆攻撃をすることを選んでしまった人たちもいる。筆者は「過激派はアラブ・イスラム社会の奥底から生まれてくるのではなく、実はアラブ社会と西洋社会の接点で誕生するのではないか」(p.48)と書いておられるのだけれど、それ以外の例を無視することはできないだろう。

「ブッシュ政権の基本的な過ちは、テロに対して戦争で応じようとしたことだった。」(p.200) というのは私も同感だ。

テロは何よりまず、犯罪である。アルカイダの場合、(中略)基本的には孤立した、世論の広範囲な支持など到底得られない集団だ。...(中略)...しかし、ブッシュ政権が取った道はテロとの全面戦争だった。「テロとの戦い」は、スローガンとしてはまことに勇ましいが、アルカイダの拠点も住宅地も十把一絡げに爆撃する方法では、戦術的な効果でさえ疑わしい。それはビンラディンの論理にブッシュがすっかり乗せられてしまったことを意味している。...(p.200~)
ウィキペディアの定義 によれば、「テロリズムとは、心理的恐怖心を引き起こすことにより、政治的主張や理想を達成する目的で行われる暴力行為のこと」となっている。アメリカがやっていることと、この定義を見比べると、「テロリスト」たちがアメリカを敵視する理由が少し分かるような気がしてしまう...

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