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ビデオ「ヴェラ・ドレイク」

「ヴェラ・ドレイク。彼女には誰にも言えない秘密があった。」というコピーは見ていたけど、どういう話かはよく知りもせずにDVDを借りた。で、これは、私にとっては、とてもいい映画だった。

1950年のロンドン。ヴェラは、体調の悪い隣人の世話をしたり、ひとり暮らしの男性を気軽に夕食に招待したり、と、とても気持ちのいい女性だ。ふたりの子ども達も社会人となっているが、家族で囲む夕食のテーブルは明るい雰囲気に満ちている。ヴェラは困っている人を見ると助けずにはおられない性格で(決しておしつけがましいものではない)、夫もそんな彼女の素晴らしさを認めており、自分は幸せ者だと感じていた。ところが、この「困った人を助けずにはおられない」性格からヴェラは違法行為を行ない続けていたのだ...

法に背くというのはともかく、命の危険の伴う行為である、ということをヴェラは自覚していなかった。善意でしたことだから、と、見過ごされていいものではないと思う。ではどうすればよかったのか。問題提起が白黒をつけるような形でなくなされ、考えさせられるし、家族の対応も丁寧に描かれていて脚本もおもしろい。

(以下ネタバレ)

当時のイギリスでは堕胎は違法だった。望まない妊娠をした場合、母体に危険がある場合のみ、中絶することが認められたが、それには高額な費用が必要だった。というわけで、ヴェラのような人たちが出てくるわけだ。

そもそも中絶するという考えが間違っている、という意見もあると思うけど、少なくとも望まない妊娠の結果がその女性だけに押し付けられているというのはおかしな状況だと思う。

ヴェラがもっと高度な技術を持っていたら問題はなかったのか...安全確実な方法(だとヴェラは思っていた)で行なっていたなら?...

中絶を選択肢として選ぶことができる、という状況は必要だと思うけど、簡単に選べるようなものではあってほしくない。ヴェラが処置をした娘達に2度と会わないのは、彼女達にとってつらいことを思い出させたくない、という思いやりからかもしれないけど、本当は、もし中絶を行なったなら、そのあとの心のケアも必要になってくるのだと思う。

最後、ヴェラのいない家族の無言の食卓の場面が、彼女の大きさを感じさせた。本当に素敵な女性だと思う。私はいろいろ言うばかりで、とても彼女のようにはなれない...

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