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映画「胡同のひまわり」 Sunflower

1967年、北京の伝統的な民家が立ち並ぶ地区、胡同で生まれた男の子、向陽(シャンヤン)。父は画家だったが、その後、強制労働に行かされてそこで拷問を受け、腕を痛めて絵筆が握れなくなった。父は息子に絵の才能があることを感じ、それを伸ばしてやろうとスパルタ教育を開始する。

父の教育の仕方はむちゃくちゃだ。子どもに遊ぶことを許さず、とにかく絵を描かせる。描きたいわけでもないのに描かされる向陽にとっては苦痛でしかなかったが、父への反発を感じつつも、逆らうことはできない。それでも、成長するにつれ、親の目を盗んで自分のやりたいことを少しずつやっていたものの、父に見つかってすべて禁止されてしまう。向陽の恋人に対する父の仕打ちもひどいものだった。

ただ、そういう人間を生み出した時代だったんだなぁと思える。文化大革命、四人組の失脚、毛沢東の死、そして近代的な都市へ。友人の裏切り、価値観の転換...それでも長幼の序を大事にする伝統的な親子関係...人間はその時代のなかで生きるしかないけど、でも流されるだけでもない。父の態度は愛情からだったのだ、結局のところ、向陽は画家として成功したのだ、と言っても、それで父の行動が正当化されるわけではないけれど、でも、彼を憎むこともできない。父も、母も、向陽も、向陽の彼女も、妻も、リウも...時代のなかでひとりひとり一所懸命生きてきたんだなぁ、と感じさせられる映画だった。

ビデオも含め、今年は中国映画に心惹かれるものが多い。

以下 ネタバレ

自分を強制労働所に送ったのは友人のリウが書いた報告書が原因だと知り、ずっと友人を許すことができなかった父。しかし、近代化のすすむ北京で、胡同の古い家はどんどん取り壊されていくなか、胡同に残っていた父とリウはやはりたがいに友人であることを感じていたのだ。彼らは言葉を交わすことなく、何日も将棋を続けていた。リウが亡くなったことを知って、父が「できることなら、"待った"をしたい」と言ったとき、思わず涙してしまった。他にもいくつか印象的なエピソードがある。

父が最後に家族の前から姿を消してしまったことも、自分勝手だなぁと思うけれど...子どもへの愛情をどうやって示していいかわからなかったこの人を責める気にもなれない。そして、向陽はきっと良い父親になっていくのだろう。

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