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映画「クラッシュ」

ロサンゼルスのハイウェイで今日も起こる車の衝突事故。ロスに住む様々な人種、職業のの人たちの日常生活が描かれ、初めはまるで関係のないように見えたそれらが見事につながっていく。よくできた脚本(ちょっとできすぎとは思うけど...まるで映画のようだ、と言いたくなるような)で、ぐいぐい引き込まれた。

黒人、白人、アジア人、ヒスパニック、アラブ人、イラン人...ロスではそういう区別があまり意味をもたないと思っていたのに。うちのクラスの保育士Eはカリフォルニアに長く住んでいたそうで、今まで住んだなかではカリフォルニアはいい、と言っていた。黒人であることを意識しなくてもいいと言う。園長先生は白人女性だが、やはりカリフォルニアは人種差別を感じないから好きだ、と話しておられたことがある。ミズーリー州のカンザスシティに住んだとき、白人が彼女とその友達しかいない、という状況のカフェで、いきなり黒人女性にコーラをかけられたとか、その後住んだフィラデルフィアも、みんな人種ごとの部落のようなものがあって交流がなく、いやだった、ということだ。そんなふうにふたりの違う人種の人から良いところだと聞いていたカリフォルニア。でもそこにも差別はうずまいている。みんな頭では「差別はよくないこと」とわかっていて、表立って差別はしないが、心の奥深くに差別意識を持っていて、それがなんらかのきっかけで出てくるのだ。

悪人と見えた人が良い面を持っていたり、善人と思えた人が意外な行動をしたり、人間に簡単にレッテルを貼ってしまうことの危うさ、愚かさも感じさせられた。ずっと重苦しい雰囲気の漂っている映画だが、最後に、絶望ではなく少し希望を感じさせられるつくりになっているのも好きだ。

以下 ネタバレ

中東圏の出身者である鍵屋のおとうさんが帰宅すると、幼い娘がベッドの下にもぐりこんでいる。銃の音のようなものが聞こえて眠れない、と言う。このおとうさんは、「自分は小さい頃妖精からもらった透明の銃弾を通さないマントを着ているのだけど、娘が5歳になったらそれを譲ることにしたんだ」と話して彼女にマントを着せてやる(ふりをする)。この、娘を思う気持ちにあふれたおとうさんと、安心する娘の様子がとてもいいな、と思って印象に残ったのだが、それがあとであんなふうに出てくるとは。店が荒らされたのは鍵屋のせいだ、と鍵屋に発砲するイラン人の雑貨店店主。パパを助けようと駆け出す娘。自分は銃弾を通さないマントを着ているのだから。そして...出来すぎだとは思うけど、うまいなぁと思う。他にも意表をつかれる場面や印象的な場面があった。

Eに聞くと、この映画は現実とかけ離れているということでもないようだ。とにかく、ロサンゼルス警察というのはむちゃくちゃなことをやるものらしい。いずれ、「こんな時代もあった」と語り草になるような、そういう日がやってくればいいと思う。

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コメント

やっと、ビデオで見ました。

>現実とかけ離れているということでもない

・・・なるほど・・・ですね。
ウチの連れ合いも中国・韓国人に対して差別感を持っているようです。
・・いや、私も心の底では・・・って感じた映画でした。

投稿: まみ | 2006.09.13 15:36

まみさん、

この映画を見たとき、ここまでひどいことはないだろう、と思ったのですが、Eに「ありえない話じゃない」と言われたので、そうなのか、と思って。

3-5歳の子ども達を見ていると、人種の違いとかを気にしているようには見えないですが。もし親が「白人は」「黒人は云々」というような会話をしていれば子ども達もすぐに影響を受けるでしょう。差別意識が芽生えるのはいつなのか、それともこの子達に差別意識が生まれることはないのか...後者であってほしいですが。

投稿: じゃりんこ | 2006.09.13 19:58

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