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映画「13歳の夏に僕は生まれた」Quando sei nato non puoi più nasconderti

イタリアの北部に住む裕福な家庭の少年サンドロが、父親とその友人とともにヨットクルーズに出かけ、過って海に転落。父親たちはしばらくそのことに気づかず、溺れかけた彼を助けたのはイタリアへの不法移民がたくさん乗り込んだ船だった。船をとりしきる密航業者への警戒感から、イタリア人であることを悟られないようにしようとするサンドロに力を貸してくれたのはルーマニア人の青年ラドゥで、サンドロは彼とその妹アリーナと親しくなっていく。

サンドロが育った環境では、まわりにいるのは白人ばかりではなかった。級友にも父親が経営する工場の従業員にもそういう人たちはいたし、彼はそれらの人たちと違和感なくつきあってきた。でも、密航船に乗り、収容所の生活を経験することで、その人たちのことを考え始める。

私は、単純明快な映画が好きなところがあるので、この映画の終わり方は私好みではない。消化不良の感じが残ってしまう。でも、それが現実なのかもしれない。明快な結末だったら、ウソになってしまうのかもしれない。ストーリーに力があってぐんぐん引き込まれたし、知らなかったことに気づかされた。世の中の矛盾と、それをどうすることもできない自分の無力さ...13歳のサンドロも大人の私も同じだ...

(以下ネタバレ)

ルーマニア人の兄妹を助けたいと願うサンドロは、彼らを養子にしてくれないかと両親に頼む。命の恩人である彼らのために両親もなんとかしようとするが、ある日ふたりは収容所をぬけだしてサンドロの家にやってくる。「そんなことをしたら合法的に引き取ることができなくなる。今日はここに泊まって明日収容所に帰りなさい」と諭す父親。その夜ふたりは金目のものを奪ってサンドロの家を後にする。

この兄妹を責められるだろうか。兄は、「本国へ強制送還されたら、もうイタリアに来ることはできない」と思っていた。必死の思いでここまでやってきたのだ。サンドロにしても両親にしても、ショックは大きいが、ふたりがそうしなければならなかった事情はわかる。でも、どうしようもないのだ...無力感。

ラストのアリーナの姿にも無力感を感じてしまう。ただ、彼女がサンドロに電話をした、というところに、彼女が「今の自分の状況をなんとかしたい」と思っていることが感じられる。父親の工場で働く黒人男性が昔は不法移民だった、という話にも、少し希望を感じさせられるものはある。

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