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ガザの暮らし

パレスチナ子どものキャンペーン」が支援を行なっている、ガザの NGO 団体 CFTA(Culture and Free Thought Association 文化と自由な思考をめざす協会)の発起人のひとりであるマジダ・アルサッカさんが来日していて、昨日、歓迎交流会が開かれた。

CFTA は、ガザ南部のハンユニスにある難民キャンプで、青少年のためのセンターを作り、子どもの遊び場の確保、学校の勉強の補習、その他アート、演劇、音楽などの活動に取り組んでいる。また保健センターを併設し、保守的な地域で女性が様々なワークショップや文化的な活動に参加しやすいようにしている。

マジダさんの話では、ガザの子ども達は、閉塞的な状況のなかで心のケアが必要であり、そのためアートなどにも取り組みたい、また学校の勉強についていけない子どものために新しい教育方法で教えてあげたい、と思っても、今、とりあえず、最低限の生活ができない状況なのだそうだ。そのため、お金はまず食料や学校の制服などにまわされて、文化的な活動をするところまでなかなかいかない。また、たとえば鉛筆がほしいと思っても、鉛筆が買えないということがあったりする...ものがないから。

2006年は、今までになくきびしい年だったと言う。2005年夏にイスラエルが一方的撤退を実施してから、ガザ地区全体の包囲網はかえって強められた。今年1月の選挙でハマスが勝利してからというもの、アメリカなどからの経済援助が停止され、パレスチナの経済状況は悪化。ガザからの出入りが自由にできないため、人もものも移動が極端に不自由なのだ。

マジダさんはもともと11月に来日する予定だった。ところが国境が封鎖されてガザからの出国ができず、来日がこの時期にずれこんだ。今回の出国もずいぶんとラッキーなものだったのだそうだ。

パレスチナ・パスポートを持つマジダさんが日本に来るためには、日本のビザをとらねばならず、そのためには日本で身元を保証する人なり団体なりが必要だ。今回は「パレスチナ子どものキャンペーン」の招待だったわけだが、キャンペーンでは団体の固定資産税証明などの細かい書類まで提出しなければならなかった。マジダさんが日本でどこに泊まるか、どういう行動をとるか、という細かい日程も提出しなくてはならない。航空券の現物も必要。ビザの手続きのためにはイスラエルのテルアビブにある日本大使館に行かなければならないが、マジダさん本人は簡単にガザを出られない。そこでキャンペーンの現地スタッフが代行する。また、もしヨーロッパの航空会社を利用してヨーロッパの都市でトランジットをする場合、その国のビザもとらなくてはならない(ドイツ、オランダを除く)。たった2時間のトランジットのために、日本のビザをとるのと同じような手続きをしなければならないのだ。

結局、今回は、ビザを取る必要のないエジプトの航空会社を利用したそうだが、エジプトとの国境の町ラファの検問所がいつ開くかわからず、これも簡単ではない。現に11月は出国できず、今回も出国を待つ人がたくさんいてだめかと思っていたが、検問所の職員の女性が助けてくれたのだそうだ。職員用の通用口をマジダさんを連れて通り、呼び止められると自分の職員IDを見せて、「彼女は新入りだからまだIDがないの」と言ってエジプト側に連れて行ってくれ、書類の手続きも一切やってくれたのだと言う。"Women can do it!" (女はできるのよね!)と言って笑ったマジダさんの顔が印象的だった。

こんな大変な思いをして出国しても、またラファから入国する際にはどのくらいかかるかわからないと言う。何日も国境の町に留め置かれる可能性もあるようだ...

東京から大阪に行くのに許可が必要で、しかもその許可をとることができない。それがガザの暮らし。車で一時間も走れば端から端まで行けてしまう小さな町だという。そこに文字通り閉じ込められている140万人の人々。「私達に何が出来るのでしょうか。何をしてほしいですか。」という会場からの質問に「それはむずかしい質問だわ。あなたが考えてください。...でも、何もしないでいると、私達の状況がどんどん悪くなることは確かです。私達だけではこの状況を変えることはできない。国際社会の助けが必要です。ガザの人たちは孤立感を感じているんです。...そう、ガザに来てください。...」

ガザに行くのはむずかしいけど...最後にもう一度、「できればガザに来てください」と繰り返されたマジダさんを見て、ガザの人は本当に「世界が自分達のことを気にかけている」と知る必要があるのだろうなぁと思った...

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