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映画「それでもボクはやってない」

もともと法廷もの映画が好きな私には、この作品もとても楽しめた。
痴漢に間違われ、やっていないのだから話せばわかるだろう、と思っていた主人公は、逮捕されて拘置所に留め置かれることとなり、起訴され、裁判で有罪無罪を争うこととなる...

綿密な取材に基づいて作られた作品だということだが、これが日本の司法の現実なんだろうか。無実の人間が、捜査官の思い込みによって起訴されてしまう。無実を訴えても「有罪を認めて示談にすれば、さっさと普通の生活に戻れるよ」と勧められる。取調官からだけでなく、弁護士にまで!

それでもこの主人公の場合はラッキーなほうだったのだろう。役所広司扮する、良い弁護士に出会うことができたし、友人や家族の支援を得ることができた。そしてその結果は...見てのお楽しみだけど、弁護側が、どうやって彼の無実を証明するか、と奮闘する過程も興味深い。

主人公を演じていた加瀬亮は、ある日理不尽に逮捕されてしまってとまどう普通の人の雰囲気がよく出ていたと思う。おかあさん役のもたいまさこもよかったし、被害者役の女の子もよかった。役所広司はあまりにもはまりすぎなので、できれば、有名でない他の人に演ってほしかったかな。

現実に、やってもいないことを認めて示談にしたら、それは「たいしたことじゃない」ですまされることなんだろうか。とてもそうは思えないし、私がそういう立場にたたされたら、やっぱりこの主人公と同じように無実を主張し続けるだろうと思うけど...

この映画については「長い!」なんていう感想も見たりした(143分)けど、私はまったく退屈することなく、結末まで見ることができた。

以下ネタバレ(なので映画を見ていない方は読まないほうがいいと思います)

こんな映画を見ていると、裁判員制度もいいものかもしれない、と思う。普通の人の感覚なら、彼は無罪だろう。あの実証検分ビデオや、目撃者の証言、「疑わしきは被告人の利益に」という原則。ところが、裁判官は「無垢な女子中学生が勇気をふりしぼって訴えたことは真実に違いない」という思い込みを持っていて、それを変えることはなかった。

担当の裁判官が、「疑わしきは被告人の利益に」という信念を持っていた最初の裁判官から、途中でそうではない裁判官に代わってしまう。無実の判決をたくさんだして被告人を喜ばすことは警察を敵にまわすこと。そんなことでは出世はできない、なんていう傍聴オタクの会話が映画の途中にはさまれる。裁判員制度ではそれでも裁判員がすべてを決めるわけではないようだから、どの程度、改善の実効性があるかはわからないけど、少なくとも判決を決めるのが裁判官ひとりではなく、複数の目がある、というのはいいことだと思う。

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コメント

 私もちょっと前に観ました。いつもより、観客に男性が多かった気がする。これをみてお勉強(痴漢にまちがわれたら人生くるってしまうってことを)するのかな? 説明くさいところがありましたが、私も楽しめました。
 裁判を何度か傍聴しましたが、ほんとに裁判官によって違いますよ。裁判員制度について思うこと。ほんとうに、複数の目で見ることは大切!です・・・が、真剣にやってもらわないと。(裁判員制度は長引くのをいやがったりする人がきっといる)
あと、痴漢だったら、身近で一般人の感覚がすごく生かせる気がしますが、裁判員裁判になるのは、もっと重い殺人とかですよね。自分がくじに当たったらと思うと、ちょっと気が重いです。

投稿: guri | 2007.02.17 21:19

guri さん、はじめまして。コメントありがとうございます(^^)。

裁判を何度か傍聴されているんですね。以前、「お笑い裁判傍聴記」という本を読んだとき、傍聴するのもおもしろいかな、と思いましたが、実際にでかけたことはありません。

そうか、痴漢では裁判員が判断に加わったりしないのですね...
「お笑い裁判傍聴記」を書いた人たちは、現在、検討されているような裁判員制度で裁判の状況が改善されるだろうとは思っていないようでしたが、複数の目で見ることとか、一般の人が裁判に関心を持つとか、いい面もありそうですよね。

私がくじにあたったら...仕事上で有休を使う必要がないのならぜひやってみたいと思いますが、有休を使うとなるとちょっとしんどいかな、と思います。

投稿: じゃりんこ | 2007.02.18 00:14

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