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映画「蟻の兵隊」

日本がポツダム宣言を受諾した後も、国共内戦の続く中国に残り、日本軍として国民党軍に加勢し、共産党軍と戦った人たちがいた。戦争は終わったのだから日本に帰りたかったのに軍の命令で帰れなかったのだ。しかし数年後に帰国したこの人たちに対し、日本政府は「自分で志願して残ったのであって日本軍とは認めない」として、軍人恩給などの対象者としなかった。そこで日本政府に対し、「それは事実とは違う」ということを訴えている人たちがいる。この映画は、その裁判の原告のひとり奥村和一さんが、自分が中国で何をしていたのかを確認し、裁判を闘う様子を映したドキュメンタリーだ。

まず、そんな事実をまったく知らなかった者として、映画を見てよかった。裁判は最高裁でも訴えが棄却されたというが、なんとかならないのだろうか。「それでもボクはやってない」でも思ったけど、日本の裁判ってそんなにいい加減なんだろうか。この裁判の原告の人たちはみんな高齢で一番若い奥村さんが80歳。この人たちがウソを言っているとは思えない。やっぱり裁判員制度か何かで複数の人が判断に関わったほうがいいんじゃないかなぁと思う。

ドキュメンタリーとしては、やや製作者側の演出過剰かな、と思うところはあったけど、自分の過去と向き合おうとする奥村さんの姿には打たれたし、こういう事実を知ることができたのは本当によかった。

一番胸をうたれたのは(以下ネタバレ)

敗戦当時、残留兵の帰国を担当していた宮崎さんを、奥村さんが訪ねたところ。宮崎さんは、山西省の日本軍責任者が本部の意向に反して兵士を残留させようとしていることを知り、それを阻止しようとしたがはたせなかった。奥村さんが訪ねたときには寝たきりの状態で意識もない様子だったが、奥村さんの語りかけに反応してうめき声をあげる。介護を担当していた娘さんも「言っていることがわかるのかしら」と驚いた様子だった。奥村さんがさらに話し続けると、宮崎さんはなおも何か言おうとするかのように話せない口を開け、泣き声になる。きっと奥村さんの言っていたことはわかっていたのだろう。意識がないように見えても実はそうでもない、という状況はきっとあるのだと思う。宮崎さんにとっては本当に無念なのだろう。

演出過剰かな、と感じたのは、巣から出入りする蟻の映像が何度か映されたこと、それと、奥村さんが自分が人を殺したときのことを中国の人から聞いていて、つい相手を責めるような口調になってしまったときの効果音。何度も繰り返されるのがしつこく感じてしまった。パンフレットを読んでいると、監督と製作者とで編集方針が一致せず何度も大喧嘩したと言う。結局どっちの方針が採用されたのかは知らないけど、採用されなかったほうの編集の仕方で見てみたい気がする。

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