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映画「善き人のためのソナタ」DAS LEBEN DER ANDEREN

原題は「他者の生活」という意味らしい。ベルリンの壁が崩壊する前の東ドイツで、反体制派と思われる人たちを監視していたシュタージ(国家保安省)という機関があった。ヴィスラーはそのメンバーで、「偽証している者のウソをどうやって見抜くか」というような指導をしたりしている。「反社会主義的な考え方をする者は国家の敵であり、排除しなければならない」と本気で考えているらしく、人間的な感情のかけらも見えない。

そんな彼が劇作家ドライマンとその恋人クリスタの生活を監視することになった。隠しカメラの映像と盗聴器から知る、人間の感情にあふれた他人の生活。それを毎日見聞きしているうちにヴィスラーの心に変化が起きる。

若干、不自然に思える場面があったりはしたけど、結構、意外な展開をして、目が離せなかった。

この映画、「ヴィスラーがドライマンたちの生活や芸術に触れるなかで変わっていく」と解説されているけれど、私は、ヴィスラーがクリスタに恋をしたんだと思った。クリスタの出ている舞台を見たときに彼女に恋をして、それで「ドライマンを監視する」と言い出した。たぶん、彼はそれまで恋をしたことがない。彼女をどうこうするつもりはなくて、ただ、彼女の生活を守りたくなったんじゃないかと思うのだけど。

だとしたら(だとしなくても)恋って素敵なものだ。旧東ドイツのような社会主義国家で芸術を監視していたのは、人間の自由な感情表現を制限する必要があったからだろう。恋は人間の自由な感情表現の必要なものだろう。

不自然に思えた場面は(以下ネタバレ)

クリスタが車に轢かれてしまったところで、誰も救急車をよぼうとしない。即死でもなく、ヴィスラーも、「タイプライターは私が移動した」なんて話しかけている。ドライマンは彼女を抱えて泣くばかり。あの状態で「なんとか救急車で」と思わないのは不自然な気がするのだけど、旧東ドイツにはそんなものはなかったのだろうか。また、ヴィスラーの上官も、その場面で「捜査は誤りだった。すまない」と言うだけで立ち去るのだが、目の前に瀕死の人がいる状態で、いかに冷酷な人とはいえ、あの態度は不自然に思えてしまった。

ドライマンは、壁の崩壊後、自分についての書類を見るなかで自分が監視されていた事実を知る。そして監視していた人物が自分を守ってくれていたことも知る。お礼を言おうと出かけていくが、ヴィスラーの姿を見て思いなおし、数年後出版した本の冒頭にそっと献辞を入れる。最後の場面、ヴィスラーが 書店で、"This book is for me." と、そこだけは英語で言うのだが、シュタージのメンバーにあるまじき行為をして左遷されてしまったヴィスラーの心にほっと灯りがともるような、そんな終わり方は好きだった(^^)。

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『ブラックブック』を宣伝している間に勝手に人気が急上昇したのは アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『善き人のためのソナタ』にも出ている セバスチャン・コッホでしょう。 ヒロインのエリスが憎むべき敵でありながら愛してしまうナチ将校ムンツェ役の セバスチャン。 もちろん、設定的にも、いい男でなければいけない。 バーホーベン監督のアシスタントのMさんによると 何人か..... [続きを読む]

受信: 2007.03.23 13:49

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