« 日本の文化に触れる | トップページ | 洗濯バサミホルダー »

ビデオ「ジャマイカ 楽園の真実」Life and Debt

知らないことはたくさんあるなぁと思う。

ジャマイカを訪れる旅行者はその景色の美しさに息をのみ、おいしいフルーツに舌鼓をうち、人々はのんびりしているなぁと感じ、楽しい休暇を過ごす。

でも実はそれらのフルーツはマイアミからの輸入品で、人々は借金にあえぎ、低賃金労働に苦しんでいる。IMF や世界銀行からの融資は、ジャマイカの人々を助けるどころか、次々とジャマイカの産業をつぶしていった。融資とセットで様々な条件を押し付け、外国製品がジャマイカ国内に入りやすいようにしていく。国内の農産物は安い輸入品にとって代わられてしまった。アメリカの企業と契約し、借金をしてその基準にあうような施設を導入したにもかかわらず、製品が基準に満たない、と言って買い上げてもらえない...この映画は、そんなジャマイカの現実を記録したドキュメンタリーだ。映画のなかで、農家のおじいさんたちが話すことはとてもわかりやすく、納得のいくものだった。

IMF とか世界銀行って、発展途上国に対して援助を行なうものだ、とぼんやり思っていたけど、実は、現在優位にある国がその優位さを保持するための道具になっている。「貧困の解消」などと口では言いながら、その国の人が望むような支援は行なわれていない...

もし私がジャマイカに旅行したら、きっとここで描かれている旅行者同様、楽しい時を過ごすだろう。私達は簡単にジャマイカに入国できるけど、ジャマイカの人たちが国外に旅行するには煩雑な手続きが必要だ。そして大部分の人は旅行なんてする余裕がない。

もし世界の人を貧しい人と金持ちの人に分けるなら、私は金持ちで、貧しい人たちを食い物にしている側にいることになる。そのことを自覚したからといって、私の行動がすぐに何か変わるわけじゃないけど、少なくとも自覚はしておかなければいけないなぁと思う。

このところ、マイクロファイナンスということを知って、ちょっと「貧しさへの支援」というようなことを考えていたら、P-navi Info 5月8日の「ADBに「潜入」して」という記事で、ADB(アジア開発銀行)の行なっている支援の実態などが書かれていて、とても興味深かった。知らないことは多いし、知ってもどうしていいかわからないし、それでも知ることからだなぁと思う。

|

« 日本の文化に触れる | トップページ | 洗濯バサミホルダー »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

じゃりんこさん、関空のラウンジからです。 ついでですので、建前と現場のリアリティについてもう少し。 どこの開発銀行も立派な社会影響評価ガイドラインや参加型のガイドラインを持っています。 ところが現場でそれが実行されているとは限らないのです。 実施するのはお金を借りた政府の責任だからです。

例えば、地域住民の2/3がプロジェクトに賛成し会費を払っているといっても、報告書の後ろに付いている全員の署名はでっちあげられているかも知れません。 またプロジェクトが始まることを期待して、地元の政治家や土建屋さんがお金を立て替えているかも知れません。

さらに、社会影響評価をするコンサルタントはコネで選ばれていて実力を伴わないかも知れません。 中には観光気分で現場に来る人までいますし、実際には現場に行かず若い手下に行かせることもあるでしょう。 報告書だって、中央や開発銀行には提出されていても、地元には何の説明もないかも知れません。

また参加型とは言っても地元の議会で審議して貰ってお墨付きを貰っただけで、それを「参加型」と言って憚らない先進国のコンサルタントがいたりします。 その程度の認識しかないコンサルタントがまだいるのです。

さらに、面倒なことを避けるために、プロジェクトの対象地域だけ調査して済ませようとする人たちがいます。 環境への悪影響というのは境界周辺で起こることが多いのではないかと思うのですが、境界から外は対象地域ではないので調査していない、そんな報告書があります。

もちろん、経験豊かな先生であれば、報告書を見ただけでそういうことを見抜けるのでしょう。 けれども普通はそうではないようで、そのまま通ってしまうのです。 私も普通の人ですから、報告書だけではわかりませんが、でも村を回って村の人たちから話を聞けば、早ければ数時間でそんなことはわかってしまうのです。 本当に教えられることばかりで、それで私は参加型は他人の褌と思っているという訳です。 だから聞き取りはやめられない…。

投稿: axbxcx | 2007.05.11 22:07

axbxcx さん、

関空のラウンジからありがとうございます。...ということは、また聞き取りにおでかけですか(^^)。

「参加型」は注目されているけれど、名前だけだったりする、ということがあるのですね。

この映画では、農家のおじいさんや、フリーゾーンで働いている女性にインタビューする場面が出てくるのですが、見ながら「聞き取り」ってこんな感じかなぁと思いました。現場の人の声を伝えている感じがしました。映像による聞き取りっていうのもありじゃないかなぁと思ったりしました。

全然関係ない話ですが(^^;)、しばらく前に高3の長女が『「あたりまえ」を疑う社会学』を読みたいと言って借りにきて、今日「おもしろかった」と返しにきました。「社会学をやってみたくなった?」と聞いたら「それはなんとも」と言っていましたが。何か自分のやりたいことを見つけられるといいのですけど。

投稿: じゃりんこ | 2007.05.11 23:18

じゃりんこさん、ドバイのラウンジです。 網膜剥離の手術をしてちょうど1ヶ月だったのでちょっと心配だったのですが、幸いなんともありませんでした。 本当に絶妙のタイミングで網膜剥離になったと思います。 ラッキーでした。

聞き取りを映像でというのは相当難しいかも知れません。 録音することにも賛否両論ありますし、宮本常一になるとメモも取らなかったそうです。 超人的な記憶力がなければそんなことは不可能ですから、私はメモは取りますが、録音はしません。 写真は必ず撮っていますが…。 宮本常一が言ったように、人文科学が尋問科学になっていないかということは常に自問しています。

お嬢さん、面白いことが見つかるといいですね。 我が家の二人の娘は相当タイプが違います。 上は環境に合わせて何でもこなすタイプ、下は自分が好きなことに全力を尽くすタイプです。 上は進路にもゆらぎがあって、タイ語を専攻したのも偶々だったと思います。 けれども入ってからは全てをしっかりこなしていました。 一応、専攻は社会学と言ってよいのかも知れませんが、就職は商社を選びました。 下はかなり早い時期から哲学科志望で、そのとおり哲学科に進みましたが、やはり面白いと思った科目だけ一生懸命やっているというように見えます。 何かこれというものを見つけてくれればと思っています。

今回は残念ながら全国から集まった役所の人たちのワークショップのプロデュースだけですので、現場には行きません。

投稿: axbxcx | 2007.05.12 11:07

axbxcx さん、

そうですね、ほんとに日本に帰ってきているときでよかったですね。ふだんのおこないがいいのかもしれません(^^)。

>聞き取りを映像でというのは相当難しいかも知れません。

確かにカメラを向けられると、たいていの人間はふだんのままではいられないですものね。ただ、相当量の情報が伝えられるという面はあると思います。

宮本常一は録音もメモもとらずにあれだけいきいきとした記録を残したのですか。それはすごいですね。「尋問科学」という言葉は、なるほど、と思ってしまいます。

うちのふたりの娘もかなりタイプが違います。好きなことは結構似ているところもありますが。うちもやっぱり下のほうが自分のやりたいことがはっきりしていて、自分でどんどんやっていくほうです。上の娘もいいものをたくさんもっている(親ばか(^^;))のですが、実にのんびりしていて進路についてはまだ何も具体的に決めていなくて。今日は午後から保護者向けの進路説明会があり、親としてもいろいろ勉強?しなくちゃというところです。

今回のお仕事も実り多いものとなりますように。

投稿: じゃりんこ | 2007.05.12 11:31

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17663/15027641

この記事へのトラックバック一覧です: ビデオ「ジャマイカ 楽園の真実」Life and Debt:

« 日本の文化に触れる | トップページ | 洗濯バサミホルダー »