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多文化共生

多文化子育てネットというところの研修会に行ってきた。テーマは「外国人親子の仲間作り・母語育て・多言語絵本」。

最初、多言語絵本の読み聞かせ活動に関わってこられた石原弘子さんという方の講演があり、それに続いて、実際に日本語と外国語での絵本の読み聞かせ。「ぞうくんのさんぽ」は中国語で、「おおきなかぶ」はイタリア語で、「じゃあじゃあびりびり」はエチオピア語で、それぞれネイティブの人が日本人とペアで読んでくれた。どれも日本語でまず1ページ読んで、続いて外国語で同じ1ページ、という読み方で、ああ、この言葉はこの言語ではこういうふうに言うんだな、ということがなんとなくわかる。

その後、3つの分科会に分かれて話し合い。私は「日本でもう一つの母語を育てる」という分科会に参加した。この分科会には、イタリア人、中国人、エチオピア人(いずれも日本人のご主人と結婚されている)、それに聾の方が3人、そのほか日本人で多文化共生のとりくみをされている方など、いろんな立場の方のが参加されていて、とてもおもしろかった。

とりわけ、「手話はひとつの言語なんだ」と認識したのは大きな収穫だった。聾児の学校で乳幼児担当をされている聾の方がおられて、「赤ちゃんに手話を教えるのはむずかしそうに思えますが」と質問したら、「教えるのではなく、手話で話しかけるのだ」と言われた。私達が日本語や英語で赤ちゃんに話しかけるのと同じく、聾の赤ちゃんには手話で話しかけるのだ。手話はとても豊かな言葉で、顔の表情が副詞の役割をするそうだ。たとえば、「歩く」という手話をしながら、疲れたようすや元気な様子を顔で表す。手話がわかるようになってから、日本語の書き言葉を学ぶ。だから聾の子どもにとって、手話が母語なのだ。以前は口話教育というのが重視されていて、相手の口の動きから言っていることを読み取ったり、自分でも発音することを何度も練習させられていたけれど、やはりそれには限界がある。たとえば、「行きました」「言いました」 「死にました」などの口の形を見分けるのは至難の業だし、「発音が間違っている」と何度も言い直しをさせられても、なかなかわかるものではない。そうではなく、手話という言語でなら自由に会話ができる。手話でなら表現できるけど、日本語ではどう表していいかわからないこともあるそうだ。

聾の方のひとりが「日本語には遠まわしな言い方があるけど、これがわかりにくくて」とおっしゃると、その場にいた外国人の方が全員「そうそう」と強く同意されたのもおもしろかった。たとえば中国の方は日本でアルバイトをした経験があるそうだが、しばらくして、お店の人から「この仕事は○○さんにはむずかしいかもしれませんね」と言われたので、「がんばります」と答えた。するとまた「むずかしいですね」と言われるので「がんばります」と答える。何度かこのやりとりをして、ようやく、相手が自分に「やめてほしい」と思っているのだ、とわかった、と言う。日本人ははっきりと「やめてください」とは言わないのだ。

イタリア人の方は、娘さんに日本語、イタリア語、英語の3か国語で絵本の読み聞かせをされている例を話された。中国人の方は、「アジアの場合、日本より一段低い国、という印象があって、公共の場だと、子どもに中国語で話しかけるのも恥ずかしいし、下手な日本語で話しかけるのも恥ずかしいし、と話せなくなってしまっていた。でも、こういう多言語絵本の取組みのなかで、自分の言葉で絵本をみんなに読んであげることができてそれがすごい自信につながった」と話された。いつも支援を受ける側だったけど、自分にも何かできる、ということが嬉しく、この取組みを通じてお子さんも中国語に興味を持つようになったと言う。

結局、「してあげるーしてもらう」という関係じゃなくて、おたがいの関わりのなかで学んでいけるような関係が作れるといいね、という話になった。イタリア人の方は、地域の児童館で何か活動をしようという話し合いのときに、「ご意見をどうぞ」と言われても日本人はみんな黙っているので、「これは私達の子どものためなんだよ。思ったことを言ったほうがいいよね」と発言して、それからだんだんいろんな意見が出てくるようになったと話された。どの文化が優れていてどの文化が劣っている、というわけじゃないけど、自分とは違った文化を持つ人がいることを知ることで自分が変わるきっかけになることもある。

他にもいろいろおもしろい話が聞けた。そう、違いを知るのはとにかくおもしろい(^^)。

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