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続・母国語にない音

昨日、「母国語にない音」というのを書いたけど、今日、ロシア語通訳者の米原万里さんが書かれた「不実な美女か 貞淑な醜女か」という本を読んでいたら、同じような話が出てきたので、うなってしまった(笑ってしまった)。

速成日本語講座で日本語を身につけた人は、たとえば、組織を SOSHIKI、葬式を SOSHIKI、と書いて覚える。葬式のほうの O の上には横棒の伸ばし記号を入れて伸ばしますよ、と教えるのだけど、こういう補助記号は使いなれていないためすぐ忘れてしまう。そのため組織というつもりで葬式と言ってしまい、企業の社長に向かって「あなたの葬式は大変立派な葬式です」なんて言ってしまった人がいるとか(^・^)。

このあたりはまだ可愛いのだが、「情勢」と言うつもりで「女性」と言い、あるいは「空想」のつもりで「くそ」と言い、「顧問」のつもりで「肛門」と言い、「少女」のつもりで「処女」と言ったりすると、当事者にとっては悲劇、すなわち第三者にとっては喜劇になること間違いない。

まったく(^・^)。

逆もまた真なり、で、私達日本人が外国語を話すときも同じような間違いをやっているはず。日本語は、子音、母音のバリエーションがすごく少ない言語だそうで、確かに、英語では、たとえば、up, ant, art の母音はみんな違う音でも、日本語にすれば、アップ、アーント、アート、とみんな「ア」になってしまう。日本人でこれらの母音をうまく発音しわけることができない人は少なくないだろう(多分私も(--;))...だから、ネイティブが聞いたら、え?と思うような発音をしている可能性だってあるわけだ。

日本語には母音は5音しかないが、アラビア語はなんと3語。「オ」と「エ」に相当する音がない。放送大学の面接授業でそれを知ったときは私もびっくりした。自分の名前をアラビア語で書く、ということをやったりしたけど、名前のなかに「オ」や「エ」行の音がある人は「ウ」で代用する、と言われて、そんなぁ...と思ったものだ。というわけで、アラビア語が母国語の人が日本語を学ぶとなると大変だ。「音痴」は「ウンチ」に聞こえ、「偏食」と言うつもりで「顰蹙」と発音してしまい、「幸福」と「空腹」が同じ音に聞こえて言い分けることがきわめてむずかしい。「おそらく、われわれ(日本人)のように五母音しか持たない母国語の人間が、十四母音ある(フランス語のような)言語で表現しようとすると、似たような見当違いを演じているに違いないのである」...

つくづく、母国語でない言葉を身につけるのは大変だ...

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コメント

確かにねーー。うん、そういうのは、よくあるよね。

でも、日本人じゃない人が、「企業の社長に向かって「あなたの葬式は大変立派な葬式です」て、言ったとしても、それをそのまま葬式と理解する社長はいないんじゃないかなーー?

要は心だと思うけどなー。もちろん、母国語にない音を発音する練習も必要だろうけど、お互い全然違う環境で育った者同士、結局最後は、心と心。ネイティブじゃない人が自分の母国語を話してくれてるのなら、その言語のネイティブは、相手がほんとは何を言おうとしているのか、一生懸命聞くのが、とってもとっても大切なことなんだと、私は思います。だって、できないことはできないんだもん。それでも、その国に興味を持って勉強しようとしている人を、ネイティブはもっともっと暖かく迎えないといけないと、それが一番必要なことなんだと、私は思うけどな。。

投稿: ほしの まい | 2007.07.16 17:06

まいさん、どうも(^^)。

そうだよね、外国人がコンビニで「でんきろうきんをはらいたいです」と言ったら、言わんとしてることは通じるよね。たいていの日本人は外国人が日本語で話そうとしてたら、まいさんの言うように、なんとか聞こうとすると思うし、他の国でもそうだと思います。ただ、たとえば、自分では「お座りください」って言ったつもりだったのに、相手にはshit down って聞こえてたりしたら、悲しいよね(^^;)。

それと、発音するのは教えてもらったら結構できるけど、やっぱり聞き取るのはむずかしい。lとrとか、Sとthとか、vとbとか。文脈で推測がつくことはいいけど、困るのは名前。前も言ったかもしれないけど、CassyなのかKathy なのか、Ashlyn なのか Ashryn なのか、とか...大人はこちらの事情を理解してくれますが、子どもは容赦ないです(^^;)...

投稿: じゃりんこ | 2007.07.16 20:07

じゃりんこさん  おひさしぶりです!
米原万里さんの本は笑えるし、「なるほど」って思うので私も好きです。
「葬式」と「組織」の間違いには笑いました。でも、こんな間違いをした人はいるだろうなあって思います。
面と向かっての会話も難しいけれど、電話だと尚更、聞き取りにくいですよね。
大学事務局に勤めていたことがあって、その時に大学祭に「鉄腕アトムが来るんですか?」って電話がかかってきたんです。同僚に、「うちの学祭に鉄腕アトムが来るの?」って聞いたら、大笑いされました。
ホントに来るのは「テツ アンド トモ」だったのです。日本語だって間違うんですから!英語だったら、トーゼン仕方ないですよね♪

投稿: viviarosa | 2007.07.18 21:23

viviarosa さん、こんにちは(^^)。

米原万里さんのファンって結構いるんですね。
今、うちの保育園は人手不足で、もうひとつの保育園から、
午前中だけ応援にきてくださっているのが日本人の方なんです。
で、今週は彼女とランチタイムが一緒になり、ランチタイムに
読むつもりでこの本を持っていっているのですが、それを見た
彼女もやはり米原さんのファンだとのことで...
さらに彼女が、以前、海外旅行の添乗員だったことを知り、あれこれ
話がはずんで、本の続きがなかなか読み進めていません(^^;)。

「テツアンドトモ」が「鉄腕アトム」ですか(^^)。viviarosa さん、お好きなんでしょうか(^^)。でも、こうやって笑えるのはいいですよね。
私もしょっちゅう聞き間違いをやってます(^^;)...

投稿: じゃりんこ | 2007.07.18 21:40

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