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ヒネテーロ(キューバ)

今回のキューバ行きの前の海外旅行は2年前のトルコだった。トルコでは、旅人に親切な人が多く、最初はチャイをすすめられる度にちょっと警戒していたけど、たんに本当に旅人と話がしたい、とか旅人をもてなしたい、という人がほとんどなんだな、という印象を持った。で、その感覚でキューバを旅していると、あれ?という思いを経験することになる。昨日の「アメル横丁」を読んで既に「あれ?」と思われた方もいるのではないかと思いますが...

キューバに着いて3日目、旧市街をウロウロしていて、「どこに行くの?」とか「何を探してるの?」と親切に声をかけてくる人たちは、ほとんどの場合ヒネテーロ(jinetero) だった。日本語では「たかり」と訳される。話に興味をひかれて相手をしていても、結局、高い土産物屋やレストランに連れて行かれたり、何かをおごらされたり、「赤ん坊にミルクが必要で...」なんていう話になる(--;)。「キューバでアミーゴ!」のたかのてるこさんも書いていたけど、旅行者がいれば一緒に飲み食いして、支払いは旅行者持ち、というのが基本(全ての人がそうだというわけではないだろうけど)なのだ。経済力の違いを考えれば当然のことかもしれない(キューバの人たちが海外旅行するのはきわめてむずかしい。ビニャーレスへのツアーガイドさんの話では、外国人から招待してもらって費用も負担してもらう、というのでない限り海外にはまず行けない。国内旅行も簡単ではない。)けど、トルコでとても親切なもてなしを経験した次に行く国としては、やはりその落差がちょっときつい。

昨日のハバナ大学の学生も、町歩きの途中で、「ハバナ大学はお金がなくて、パソコンだって大学全体でたったの5台しかない。それでいろいろお金が必要だから、大学のやってるショップがあるんだ」という話を始めた。葉巻を売っている、という話だったのだけど、「帰国するときにアメリカを通らなきゃならないから、葉巻が見つかったら没収されてしまう」と言うと納得してくれ、それ以上は勧められなかった。アメル横丁で「モヒート(ラムのカクテル)を飲もう」という話になったときは、私も喉がかわいていたし、案内してくれたお礼という気持ちもあったので、私が支払った。さらに、私のほしいDVDを探すのを手伝ってくれた(結局見つからなかったけど)のだが、野球の師匠だという彼が、「DVDが見つかったらガイド料を払え」と言い出した。「大学としていろいろお金が必要だから、こうしてガイドしているんだ」と言うので、「別にガイドを頼んだわけじゃない。それにすでにあなたたちのモヒート代を払った」(彼らの要求するガイド料とモヒート代が同じだった)と言うと、「そうか」とあきらめて握手してさよなら。彼らが連れて行ってくれたところはおもしろかったし、最初からガイド料を払うことを前提としてのガイドだったらそれはそれで頼んでいたかもしれない。でも、最後にこんなふうに要求されるのはやはりあまり気分のよいものではない。革命広場が月曜日は閉まっている、というのも嘘だった。

ただ、「ハバナ大学にお金がない」というのは本当の話らしい。この日、後で「チョコレート博物館」(^^)というところに行ったとき、ハバナ大学に留学していた、という日本人の女性に会ったのだけど、彼女の話では「ハバナ大学にお金がないのはほんと。パソコン5台...は言い過ぎかもしれないけど...コピー機もこわれてるし、何もない。」とのことだった。彼らもしつこくお金を要求するわけでもなく、実際、大学のためにお金を集めていたのかもしれないけど...

多分、地方に行けばまた事情は違うのかもしれない。トルコの印象がすごくいいのは、田舎に行ったせいが多分にある。イスタンブールに数日滞在していただけだったら、おそらく印象はちがっていただろう。また、もちろん、キューバ人がみんなヒネテーロというわけではなく、日本人だとわかるとニコニコして「オチン」(テレビ番組の「おしん」のこと)とか「オキナワ、サトウキビ」とか、話し始めたりする人もいた。そういえば、「サヨナラ」といわれることが多かったな、「コンニチハ」じゃなくて。何故かわからないけど。ただ、私はスペイン語が話せないので、なかなかそれ以上話を深めることはできなかった。もしスペイン語ができればまた印象が違っていただろう。

ヒネテーロは男性だけど、ヒネテーラ(jinetera) という言葉もある。こっちは自分を売り込む女性。ビニャーレスへのツアーに行った日の夜、セントロハバナのミュージックスポット「カサ・デ・ラ・ムジカ」に行くと、私に手を振っている人がいる。見ると、ツアーバスで隣だったアイルランド人の男性だった(^^)。思いがけない再会に喜び合ったけど、その彼が言っていたのが、「ここで待ってる(開演が夜11時からだった)間に、すでにふたりの女の子に声をかけられたよ」とのこと。

社会主義国のキューバでは最低限の生活は保証されているし、教育、医療制度も充実している。それでも、ドルショップに並ぶ品物を簡単に買うようなお金はないから、機会があれば余分の収入を得ようとする。私がキューバ人だったとしても、やっぱりなんらかの方法でお金を得ようとしただろうな...ヒネテーラは無理だけど(^^;)。

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コメント

うわぁ、そうだったのね。。。ビックリ。
最初は何も言われずあとからお金をといわれたら、やっぱりとっても気分悪いですよね。
日本で生活しているとそういう経験ってしないし、カルチャーの違いもあるとは思うけど、なじみのない国に行った時は私も注意することにします。

投稿: Kanani | 2007.09.12 08:12

Kanani さん、

うん、今まで行った国であんまりそういう経験がなかったもので結構ショックでした。
まあでも、「どこに泊まってるの?」と訊かれて「カサ・パティクラル(民宿)」だと言うと、「ああ、エコノミカルね」と言われるので、向こうもこっちがそんなにお金を持ってるわけではない、ということはある程度想像がつくようですが。とはいえ、地元の人から見て旅行者が金持ちなのは確かなので、少しくらいもらってもいいだろう、という考えになる...のでしょうかね。私も慣れてくるとハナから相手にしなかったので、そうすると、「1ドルくれ」みたいに言われることがありました。
たかのてるこさんの本で、「キューバ人とつきあうと、お金に関してはいやな思いをする」みたいなことが書かれてはいたのですが、明るくて人懐っこい、人と人との垣根が低い、みたいな話も聞いていたので、あんまりこういう状況を想像していなくて...やっぱり短期間の滞在でしかも地元の言葉が話せないとなると、なかなか本音のつきあいまではできないわけでしょうね。

投稿: じゃりんこ | 2007.09.12 17:40

じゃりんこさん、途上国を相手にしている限り、国際協力ってそれの連続ですからねえ。 例えば2005年のトルコの1人当たりGDPはマレーシアの次で世界63位・5,002ドル、キューバは77位・3,506ドルありますが、ケニアは147位・525ドル、ガーナは151位・484ドル、バングラデシュは154位・423ドル、マラウイに至っては179位・161ドルしかありません。 ちなみに最低はブルンジの183位・106ドル、日本は13位・35,215ドルです。

まあ身内と他所者と言うか、ある程度身内として扱ってもらえない限り我々はサンタクロースに見えてしまって、出て来るものと言えばショッピング・リスト(欲しいものリスト)ばかりになってしまいます。 そこでサンタクロースではないということをわかってもらうことが第一の仕事になることが多いです。 その儀式を通らないと話にもならない…。

あまり意味があるとは思えませんが、マラリアの心配がなければ現場では草履で、地元のシャツを着て…という感じです。

投稿: axbxcx | 2007.09.12 21:00

axbxcx さん、

やはり似たような経験はされているのですね。

一人当たりGDP のことを書かれていたので、なるほど、と思って私も調べてみました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%86%85%E7%B7%8F%E7%94%9F%E7%94%A3%E9%A0%86%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88
このページで購買力平価ベースのGDP 一人当たりというのを見てみると(市場為替レートベースのほうではキューバが見当たらなかったので)、キューバは122位3000ドルで、確かに私が今までで行った国で一番貧しい国ということになります。これまで行った国で一番貧しい国は中華人民共和国91位5600ドルでしたが、中国人である、友人のご主人と一緒だったせいか、たかりとかを経験することはありませんでした。それに、旅行者が行くことのできる場所はある程度限定されているので...。この統計ではマラウイは、ブルンジ、ガザ地区などとともに最低クラスになっています。ちなみに最低は東チモール。

こうして比べてみると、金のある者がない者に渡すのは当然、という気がしなくもありません。外の世界を知らなければ、持っているもので満足してしまうかもしれませんが、違う世界を知れば、どうしてこんな差が生まれるのだろう、と思うのは当然ですよね。

キューバでは、一人当たりのGDPが低くても、子どもが働いたり物乞いをしたりしていない、それはやっぱりすごいことだなぁと思います。アメリカの貧富の差はすごいですが、キューバにはたぶんそんなすごい差はない。

「お金なんてどうでもいい」と言えるのは、ある程度持っているから言えるのでしょうね。持たない人がお金にこだわるのはやっぱり当然なんだろうな、と思います。文化の違いとは別に経済力の違いがまた対等の人間関係をむずかしくしそうですね。サンタクロースではなく、友人になるには...とにかく短期間では無理ですよね...

投稿: じゃりんこ | 2007.09.12 22:13

じゃりんこさん、1人当たりGDPが必ずしも実情を反映しているとは思いませんが、使うのはまあ職業病のようなものです。 計算方法によってズレはありますが、桁が違う場合は多分間違いないでしょう。

物乞いについては一人当たりGDPとは違い、マラウイやガーナよりもケニアが多いと思います。 特にキスムは、HIV/AIDSで孤児が多くなった結果、村で支え切れなくなっていますから、ストリート・チルドレンがたくさんいます。 その点、マラウイは首都が小さいせいか、あるいは村で何とか支えているせいか、ストリート・チルドレンを見た記憶がありません。 私の感覚でも、ケニアの半乾燥地などより、マラウイの方が「豊か」な生活をしていると思います。 もちろん着ているものはずっとボロなんですが、心のゆとり、他所者との接し方が違います。 というよりも、ケニアの半乾燥地を経験したせいで、ほとんどどこに行っても「豊か」に見えるようになりました。 自然環境も含めてです。

また実生活ではセキュリティーの方が重要になりますが、ナイロビが断トツに危ないと思いました。 それが同じケニアでもキスムになると結構平気で夜も歩き回れます。 それから私の経験は直接的ないわゆる物乞いばかりで、じゃりんこさんのようなパターンはありません。

投稿: axbxcx | 2007.09.12 23:52

axbxcx さん、

実は今日、放送大学の成績が返ってきて、「途上国の開発」は○A(最良の成績)でした。試験が終わった後、「合格してればいいけど...」なんて思っていたのですが、うーん、はたしてこんなことでいいのか、と逆に思ってしまいます(^^;)。

GDP と生活の豊かさというのはまた違うものなんですね。自殺する人の多い日本ははたして豊かな国なのか、というような議論は時々聞きますね...

ハバナは危ない感じはまったくしませんでした。民宿のおかみさんは「かばんを斜めがけにしろ」とか、いろいろ気をつけるように、と言っていたので、もちろんスリとかを警戒する必要はあるのでしょうけど、悪くても東京と同レベルという感じでしょうか。だからこそ、夜の11時にミュージックスポットにひとりで出かけていけるわけで...。

ナイロビが危険、というのは、命の危険を含む感じですね。仕事はともかく、さすがにそれだと観光には行けないですね...

投稿: じゃりんこ | 2007.09.13 00:14

じゃりんこさん、おめでとうございます。 私は成績悪かったですからねえ。 上の娘は成績がよかったんですが、下の娘は私と似たようなものです。(笑)

実は我々の仕事にもそういう評価があって、今回のケニアは何とかAでした。 実は○Aに当たるSという評価もあるのですが、これは一度しか見たことがありません。 マラウイだったんですが、先ほどのコメントにも書いたように、普通の人たちが「厳しい」土地と感じるところを我々は最初から「豊かな」土地だと感じた、その気持ちの差が大きかったように思います。 気持ちがいいと写真が撮りたくなるし自分でも気に入る写真が撮れる、ところが気持ちがダメだと写真を撮ろうとすら思わなくなってしまうというところがありますね。

田舎の現場を回るのが好きですから、そういうときの気持ちは観光と変わらないと思います。 今回の周防大島・尾道も本当に嬉しかったですが…。

投稿: axbxcx | 2007.09.13 00:29

axbxcx さん、

成績悪かったんですか。それがほんとだとしたら、成績っていうのがいかにいい加減なものかわかりますね。今回の「途上国の開発」もそうですが。

仕事の評価ができるのはたぶん自分なんでしょうけどね。マラウイはご自分でも納得いく仕事ができたようですから、第三者による評価も間違っていないのでしょうけど。

私も旅行に行くなら田舎だなぁ、とトルコに行ってから強く思うようになりました。外国から日本に来たとして、東京だけ見た人と田舎に行った人とではかなり印象が違うだろう、と思うんですよね。

今回の旅は楽しまれたんだろうな、とブログを見ながら思っています(^^)。
先日、広島出身の友人と一緒に、青梅の昭和幻燈館とかに行ってきたんですが、昭和の尾道の風景のジオラマがあり、尾道三部作とかの話になって(私は見てませんが)、彼の高校はちょうどあんな感じだったんだ、と話していました。

投稿: じゃりんこ | 2007.09.13 16:46

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