« 瓦礫の中のレバノンから | トップページ | パソコン売るなら »

本「子どもを叱らずにすむ方法おしえます」by スティーヴ・ビダルフ

うちのクラスの2歳児たちは、人をたたく、つねる、部屋の中で物を投げる、など、「してはいけない」とされていることを本当によくするので、私もどうしても禁止の言葉が多くなる。ひとつには部屋の環境のせいで、たとえば子どもは部屋のどこにも上ってはいけないことになっているのだが、部屋のなかには棚やら椅子やら上りたいものがいっぱい。その一方、部屋のなかには滑り台などのように上ってもいい遊具がないので、元気のあり余っている子どもたちには上るなといっても無理というものだ(--;)。私たちも、子どもにさわられると困るようなものは高いところに置こうとするし、とすると、子どもはそれがほしいし、で、どうしても上りたくなる。また、おもちゃもそこらじゅうにいっぱいあるから、退屈すると(保育者がトイレの世話に手をとられているときなど)それを投げたり...。

禁止の言葉が多くなると、部屋の雰囲気もトゲトゲしたものになり、それがいっそう子どもたち同士の衝突を助長するので、なんとかしたいと思って、育児書のハウツーものなどを読んでいる。

この本の原題は、More Secrets of Happy Children で、オーストラリアの心理学者の人によって書かれたもの。「温かいやさしさ」(softlove)と「ゆずらない強さ」(firmlove)のバランスが大切、というのはそのとおりだと思う。この本に書かれている方法(子どもがよくないことをしたときには、「コーナーに立って考えさせる」...原本を見ていないので、英語で何と書いてあるのか知りたいところ)も、家庭では有効だと思うけど、6人の子どもをひとりで見ている状況だとなかなかむずかしい。

それよりも、私がそうだなぁと思ったのは、保育所についての考え方だ。素人の親より専門の保育士が子どもを保育するほうがいい、という考え方があるが、本当にそうか。

カギは子どもの真の必要性は何かを知ることである。(中略)保育は子どもの欲求や願望のためではなく、大人の利便性のために発明された。(p.174)

そうなんだ。保育所はもともと子どものためにつくられたものではなくて、大人のためにつくられたものだ。子どもを預けて働く親が肩身の狭い思いをしないように、と、その点にふれられることは少ないけれど、でも実際そのとおりだと思う。だから「母親は子どもが3歳になるまで働くのをがまんしなさい」と、著者は言うわけではない。でも、3歳までは、母親か父親、あるいは祖父母、そのほか家庭的なところで子どもが育つほうがいい、と考えている。もちろん、働きたいのをがまんして子どもと一緒にいるほうがいい、というわけではなく、事情があるなら、よりよい保育の場を探せばいい、親だってストレスがたまっているのはよくない。ただ、小さな子どもを抱えた親がふたりともフルタイムで働いて、休日には疲れてしまって子どもと遊ぶ気にもなれないような状況がはたして親にとっても子どもにとっても幸せといえるだろうか、と問いかけている。

私は著者の主張におおむね賛成だ。保育園にいる子どもが不幸だというわけではないけど、子どもは一対一の関係を欲していることがよくあって、それを保育園ではなかなか満たしてあげることはできない。がまんするのがむずかしい2歳児はなおさらだ。

幼稚園クラスの子どもが幼稚園に行っている午前中、週2日だけ、ふだん保育園に来ていない子どもたち(3-5歳)向けのクラスが開かれている。そこに来る子どもたちと保育園の同年齢の子どもたちとはずいぶん違う、という。そのクラスの子どもたちにはいろいろなことが新鮮で、活動にいきいきと取り組むが、保育園の子どもたちは、もういろいろなことに飽き飽きしていて、保育者の言うことをきかない...

保育園を利用している親にもいろんな人がいるし、家庭で子どもを育てている人にもいろんな人がいるだろうから、一概にどっちがどうといえるものではないけど、密度の濃いかかわりができるのは、やっぱり保育園ではないほうだと思う。

4794213123子どもを叱らずにすむ方法おしえます―お母さんがラクになる新しいしつけ
スティーヴ ビダルフ Steve Biddulph 菅 靖彦
草思社 2004-05-22

by G-Tools

|

« 瓦礫の中のレバノンから | トップページ | パソコン売るなら »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
保育の話も映画の話もいつも興味深く読ませていただいてます。

「コーナーに立って考えさせる」は英語で言うtime outのことを言ってるのではないでしょうか。
私がアメリカのpre-Kのクラスでボランティアをしていた時によくime outという言葉を耳にしました。
そこではコーナーではなくtime out用の椅子が用意してあって
悪いことをしたらOKをもらうまでそこに座っていなければいけないっていうシステムでした。

投稿: yuli | 2007.11.07 18:38

yuli さん、はじめまして。
このブログを読んでくださっているそうで、ありがとうございます(^^)。

タイムアウトは時々用いられる方法ですが、この本では「コーナーに」「立たせて」考える時間をもうける、というふうにしていました。ただ、訳本だったので、意味がとりにくいところがあり、原書で読めばよかったかな、と思いました。
たとえば、softlove が「温かいやさしさ」、firmlove が「ゆずらない強さ」と訳されていて(これはamazon.com の中味検索で知りました)、それはそれでよい訳だとは思いますが、原語から受ける印象とはまた違いますよね。原語を見て、ああなるほど、そういうふうに言っていたのか、と思いました。

アメリカのプリスクールでボランティアをされていたのですね。私と似た興味をお持ちのようで、これからもよろしくお願いしますm(^^)m。

投稿: じゃりんこ | 2007.11.07 20:03

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17663/16998285

この記事へのトラックバック一覧です: 本「子どもを叱らずにすむ方法おしえます」by スティーヴ・ビダルフ:

« 瓦礫の中のレバノンから | トップページ | パソコン売るなら »