« 新しいパソコン FMV-BIBLO MG75X | トップページ | 映画「いのちの食べかた」Our daily bread »

本「Q&A こころの子育て」by 河合隼雄

ハウツーものの育児書をさがしているときに、どこかで「この本がよかった」というレビューを見かけたので借りてみた。

で、この本は「Q&A」となっているけど、全然ハウツーものではなく、「子育てがハウツーでできるわけありません、マニュアルどおりにはいきませんよ」という本だった。「そういうときにはこうしなさい」っていう明快な答えが得られるわけじゃないけど、あちこちに、うんうんなるほど、とうなずかせる記述があり、河合先生さすが(^^)、と思ってしまう。

ぼくはスタニスラフスキーの「俳優修行」という本が大好きなんです。そこにこんなことが書いてあります。演出家が俳優に歩いてみるように指示して、そばから「そんな風に歩く人があると思うのかね?」とか「重心をとって」とか「行手に眼をやって」とか言うんです。そうすると俳優はだんだんコチコチになって、動けなくなる。つまり、正しいことを立て続けに言うと、人間は動けなくなるんです。 それと同じで、人を育てるときも、なにも正しいことを言えばいいわけじゃないんです。親子でも、冷たい目で見られて正しいことばかり言われたら、絶対たまらないですよ。子どもには、正しいことをパッパッと言ってたらいい、と思うのは、親がちょっとあせりすぎなのと、指導・助言する立場の方がラクだからなんですね。それだとエネルギーが要らない。逆に子どもの方から出てくるものを待つのは、すごくエネルギーが必要です。(p.60-61)

ほんと、そのとおりだと思う。悪いことをする2歳児は、それをわかってやっている場合がほとんどで、正しいこと、やるべきことを言われても、「だから何?」となる。正論を並べ立てても子どもの心に響くことはないわけだ。「なんでそんなことするのかなぁ?」と子どもに尋ねて、子どもの答えを待つーのはものすごくエネルギーが要る。たぶん、子どもだってわかってなかったりするのだろうから。

ところが私はつい、この「正論並べ立て」っていうのをやってしまう(^^;)。子どもに対してだけじゃなく、同僚とかと議論になっても。で、「あなたとは話したくない」って議論を打ち切られてしまって、解決に向かわない。

河合先生が大学の学部長をしておられたとき、学生が寮の門限を10時にしたことについて怒鳴り込んできたことがあるそうだが、そのときの対応の話もおもしろかった。先生が全部正しいことを言って学生に有無を言わせないー河合先生はそういうやり方はしないのだ(^^)。

そのほかにも

個人主義というのは、西洋で背景にキリスト教があって生まれたものなんです。神様が見ていてくれるから、個人といってもひとりぼっちではないんです。見ていてくれる神様を支えにして初めて個人が成り立っている。ところが日本人は背後に神様がいることを考えないで、うわっつらだけで真似ようとしたんです。真似をするのはうまいからある程度はやってるんだけど、見ていてくれる神様の支えがないので、日本の個人主義はすごく弱いし、そのことの自覚もなさすぎるんです。...(p.28)
なるほど。

今の時代が悪くなったというけれど、昔は、能力がありながら経済的に恵まれなくてそれをのばせなかったとか、無理やり好きでもない人と結婚させられたとか、好きな仕事を選べず親の跡を継がされたとか、そういうことはいろいろあったわけで、そういうマイナス面はたくさん改善されてきている。世の中いいことばっかりはありえないのだから、現代はそれらのプラス面に見合うだけのマイナス面を背負っているのだ...とか、そのほかにも、いろいろおもしろい話があり、さすがに長年カウンセリングをやってきた人だなぁと思う。男と女の違いとかについては、そうかなぁと思うところもあるけど、もし河合先生と話すことができたなら、河合先生はこちらの言うことを決して否定はしないんだろうなぁ。でも、確かに、だから話そうという気になりそうな気はする。

河合先生の京都弁も耳に心地よく(って、これはまあ私が京都人だからだけど(^^;))、とても読みやすい本なので、何かに行き詰まりを感じている人は読んでみてもいいかもしれません。明快な答えは得られなくても、「ま、そんな簡単にはいかなくて当然だよなぁ」という気にはなり、うまくすれば何かのヒントが見つかるかも(^^)。

4022642777Q&Aこころの子育て―誕生から思春期までの48章 (朝日文庫)
河合 隼雄
朝日新聞社 2001-09

by G-Tools

|

« 新しいパソコン FMV-BIBLO MG75X | トップページ | 映画「いのちの食べかた」Our daily bread »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17663/17092262

この記事へのトラックバック一覧です: 本「Q&A こころの子育て」by 河合隼雄:

« 新しいパソコン FMV-BIBLO MG75X | トップページ | 映画「いのちの食べかた」Our daily bread »