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映画「迷子の警察音楽隊」BIKUR HATIZMORET

なかなか楽しかった(^^)。イスラエルのある町でのアラブ会館のこけらおとしに招かれたエジプトの警察音楽隊。空港に来ているはずの迎えが来ない。しかたなく、自分たちでバスに乗って目的地へ向かうが、まちがってよく似た名前の町への切符を買ってしまう。着いたのは砂漠の真ん中の田舎町。アラブ会館はおろか、ホテルもなく、空港へ戻るバスもその日はもうない。途方にくれる彼らに食堂の女主人が一夜の宿の提供を申し出る...

エジプト人たちはアラビア語、イスラエル人たちはヘブライ語。英語が話せる者どおしは、なんとか英語でコミュニケーションするが、おたがい母国語ほど流暢に話せるわけでもない。英語を話せない者がコミュニケーションするのはもっと大変だ...(けど、本当はもっと笑顔を見せてコミュニケーションの努力はすればいいのに、とは思うけど)が、共通に知っている歌(サマータイム)をきっかけに声を合わせて歌ったり...

学生時代、吹奏楽部勧誘のハガキに「音楽は世界共通の言葉」と書かれていたのが今も印象に残っている。歌ったり、楽器を演奏したり。女主人のディナが音楽隊の隊長トゥフィークにジュークボックス(?)の音楽を贈るシーンがある。ヘブライ語の歌詞はトゥフィークにはもちろんわからないけど、曲調から感じるものはあっただろう。

とりたててドラマチックな展開があるわけでもなく、話は淡々と進むのだけど、ところどころにクスッとするような場面や、ちょっとはっとするようなセリフがある。

一番笑えたのは(以下ネタバレ)

エジプト人のハンサムボーイが恋愛初心者のイスラエル人に手ほどきをする場面(^^)。
印象に残ったセリフは、「なんで警察の楽隊がウム・クルスーム(アラブの伝統的な音楽?)を演奏するの?」と聞くディナに、トゥフィークが「なぜ人に魂が必要なのかと聞くのと同じだ」と答えるところ。
言葉でコミュニケーションできればいいけれど、言葉では伝えきれないこともある。伝えられないもどかしさと、言葉がなくても伝わってくるものと...なんかそういう「空気」を感じるような映画だった。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

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投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2008.01.01 00:02

ようやく今日観て来ました。 出だしから映像が私好みでした。 妻もとても気に入っていたようです。

私にとってちょっと予想外だったのは、エピソードを含め、かなりユダヤ人っぽい感覚で作られているということでした。 いや、明らかにエジプト映画ではないだろうということです。 後から知ったのですが、主演はイスラエル人(イラク生まれ)なんですね。 ということは全員イスラエル人なんでしょうか…。

それを別にすれば、ユーモアといい、よくできていると思いました。

投稿: axbxcx | 2008.01.12 20:29

axbxcx さん、

ユダヤ人っぽい感覚というのは私にはちょっとわからないです(^^;)。でも、おっしゃるように、エジプト人を演じていたのは、アラブ系イスラエル人だそうです。
http://www.maigo-band.jp/pages_bkgrd.html

アキ・カウリスマキのような雰囲気がある、と書いている人がいましたけど、そうなのかな、と思います。

この映画を見ていてひとつ、へぇ、と思ったのが、電話を外でかけていることでした。イスラエル(1990年代という設定ですね)でも田舎の町には各家庭に電話はないのかなぁ、と。

パレスチナのことに関わっていると、イスラエルに対する思いは複雑なものがありますが、映画を見ていると、そんなことを忘れてしまいます。ただ、やっぱり、この裏で、苦しんでいる人たちがいるんだ、と後から考えてしまいます。

投稿: じゃりんこ | 2008.01.12 21:40

じゃりんこさん、一つ一つのエピソード、特に男女の関係に関する部分の感覚がモスレムではないと思ったという意味です。 と言うよりも、学生時代のユダヤ人のルームメートやその親戚がしていた話が頭に浮かんだと言うか…。

カイロに住んでいる友だちがいるので、エジプトで公開されたかどうか、評判はどうか、メールで尋ねたところです。

アキ・カウリスマキのようなユーモア感覚という部分、妻は笑ってました。 私はジム・ジャームッシュのような映像感覚という方になるほどと思いました。(笑)

投稿: axbxcx | 2008.01.12 22:54

axbxcx さん、

>特に男女の関係に関する部分の感覚がモスレムではないと思った

ああなるほど、納得です(^^)。ユダヤ人のルームメイトがおられたんだったら「ユダヤ人っぽい感覚」っていうのがわかるんでしょうね。私は今まで、ユダヤ人だという人には個人的には会ったことがありません(知らないだけで会っている、という可能性はありますが)。

アキ・カウリスマキとかジム・ジャームッシュの好きな人っていうのは、なんか映画通っていう感じがします(^^)。

投稿: じゃりんこ | 2008.01.12 23:26

じゃりんこさん、カイロにいる友人から早速返事が来たのですが、やはり公開されていないようです。 またイスラエルの映画がエジプトで公開されることもまずないだろうという話でした。 だとすれば言わば「片想い」の映画ということになってしまうのでしょうか…。 それもちょっと哀しいですねえ。

投稿: axbxcx | 2008.01.13 00:09

axbxcx さん、

そうなんですか、残念ですね...
この映画の背景になっているのはイスラエルとエジプトとの関係が比較的よかった時代なんですよね。今、エジプトでのイスラエルに対する感情がそういうふうだというのに、こういう映画がイスラエルで作られたのは何か意味があるんでしょうかね。

思うに、日本(東京)ってかなりいろいろな国の映画が見られる気がします。基地ではハリウッド映画以外のものがかかることはほとんどない(私が覚えているのではポケモンと皇帝ペンギンくらい)し、ヨーロッパだと、様々な国の映画を見るのにどこかの国(チェコだったと思うのですが、はっきり覚えていません)へ行く、と、以前ヨーロッパのどこかの国に駐留していた同僚が言っていました。もちろんそれ以外の国で見られることもあるのだとは思いますが。

投稿: じゃりんこ | 2008.01.13 08:13

じゃりんこさん、もしかするといまのエジプトの感情ということではなく60年の感情かも知れません。 ちょっと調べてみたのですが、IMDbによればこの映画、カイロとアブダビの映画祭でbanndされています。 アブダビに関しては、上映されるのならEgyptian Actors' Association threatened to boycott the festivalだったそうです。

私は観るまでエジプト映画かと思っていたくらいで、少なくともエジプト人の役者さんが出演していると思っていました。 でも観てちょっと違和感があったので調べた、そうしたら出演者がみなイスラエルの人だとわかった…、そういうことです。

よくできた映画だと思います。 映像もユーモアも好きです。 けれどもこれが「片想い」の映画だとすれば、やはり残念です。 アレキサンドリアの警察音楽隊がイスラエルに来たという事実があったのかどうかも、ちょっと気になりますね。 それとBeit Hatiqwaというあの町、実在はしないのですが、House of Hopeという意味だそうです。 なるほど!です。

投稿: axbxcx | 2008.01.13 10:08

axbxcx さんが書かれていた記事を読んでみようと私もIMDBを見てみましたが、探し方が悪いのか、その記事はちょっと見つけられませんでした。もしかして IMDB pro をお使いですか(^^)?

内容的にはイスラエル人がエジプト人に親切にした、という話が主で、エジプト人はイスラエルで間違った町に行ってしまって、そこで親切にしてもらう、というわけですから、エジプト側からしたらおもしろくない話、ということになるのでしょうか。まあ、どんな内容であってもイスラエルの映画が公開されることはなさそうですが。

町の名前はそういうことですか。なるほど、ですね(^^)。

投稿: じゃりんこ | 2008.01.13 18:23

じゃりんこさん、すみません、IMDb、記事ではなくBoardのコメントですので、登録してログインしないと読めないと思います。 カンヌの映画祭ではエジプト人の映画評論家が絶賛していたという話もありました。 元の記事はこれです。

http://web.israelinsider.com/Articles/Culture/12145.htm

今日はレンタルで「太陽に恋して」を観ました。 監督はトルコ系ドイツ人、2000年の映画で、例によって沢木耕太郎が新聞に書いていた作品です。 ハンブルグからイスタンブールまでのロードムービーの形を取っているのですが、気に入りました。 なんと言うか、明るくて楽しいんです。 そう言えば「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」もいい映画でした。 「迷子の警察音楽隊」にもオマー・シャリフの名前が出てきていましたね。

投稿: axbxcx | 2008.01.13 22:43

axbxcx さん、

ほんとだ、ボードの記事にはありましたね。私も気になった映画はここのボードの記事を読んだりすることがあります。この下のほうにあった"didn't like it" というスレッドはちょっと読んでいたんですが、"Banned from the Cairo International Film Festival"のほうは気がつきませんでした(^^;)。

そうそう、オマー・シャリフの名前が出てきてましたよね。「イブラヒムおじさん..」では貫禄を感じさせました。これはトルコに行った後わりとすぐに見たのでなんか懐かしかったというか...

「太陽に恋して」、おもしろそうですね。ディスカスの予約に入れました。
私は今日は図書館で、見たいと思っていた「真昼の暗黒」を見つけて借りてきました。先日は「羅生門」を借りてきて見ました。図書館ってありがたいです(^^)。

投稿: じゃりんこ | 2008.01.13 23:48

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