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ガザはどうなっているのか

月曜(クリスマスイブの日)に、今年の10月中旬から2週間ガザの取材をされた朝日新聞編集委員の川上泰徳さんと、11月中旬から2週間ガザを取材されたジャーナリストの土井敏邦さんの講演会があった。今年6月ハマスがガザを制圧してからイスラエルによるいっそう厳しい「封鎖」が続いているが、人々の暮らしはどんな様子なのか、ということについて、かなり具体的な話が聞けたので、ブログに書きたいと思いながら、年末のバタバタで今日になってしまった。

ガザ地区最大の清涼飲料水の工場の様子が映し出される。必要な原料が封鎖のため十分手に入らず、工場は操業能力の10パーセントしか稼動していない。つまり、90パーセントの従業員は職を失ってしまった。同じく、セメント工場もセメントが手に入らないため、操業できない。

アトファルナ聾学校。補聴器の電池が足りない。電池に亜鉛が含まれているため、それが爆弾の原料になるとして、イスラエルが搬入を許可しないのだという。電池に含まれているのはごくわずかな亜鉛にすぎないし、子どもたちには本当に補聴器が必要なのに!

日本の援助で建てられた立派な病院。しかし、医療器具が搬入できないため、何の役にもたっていない。既にある病院も、薬や麻酔ガスなどが十分になく、満足な治療が行えない。ある癌患者の人は、ガザでは十分な治療ができないため、イスラエルへの転院を申請。何度も何度も申請してようやく病院からの許可が降りた。イスラエルへ行くため検問所に向かったが、炎天下5時間も待ったあげく、通行を拒否された。治安上の理由で。「病気で弱っている息子に、治安上のどんな問題があるというのか」と母親は憤る。この人は結局、この取材から6日後に亡くなったそうだ。そしてそんな例は枚挙に暇がない。

失業率が70ー80%にも達しているような状況で、人々がなんとか暮らしているのはどうしてか。それを支えているのがイスラム教の助け合いの精神だ。困った人がいれば助けの手をさしのべる。モスクに併設された慈善団体は、アラブ諸国のイスラム系慈善団体などから資金を得て、貧民救済や孤児(イスラムでは母親がいても父親がいなければ孤児と見なされる)の教育支援などを行っている。このような慈善団体は「ハマス傘下ではない」と言うが、住民はハマス系であると感じており、ハマスへの支持が強まっている。米欧はハマスが選挙で勝ったことを認めず、援助を停止した。そうすることで住民の生活を窮地に追いやり、人々がハマス支配への反発を強めることを狙ったわけだが、住民の間には、民主主義についてのダブルスタンダードを持つ米欧に対する怒りはあっても、それに屈せず住民への救済を続けているハマスへの支持は強まるばかり。

ただ、そうとばかりいえない面もある。11月のアラファト追悼集会でのハマスの対応を見た土井さんは、人々がハマスにノーを言い始めたことを指摘されている。(私のハマス観の転換) 川上さんも、「ハマス政治部門の指導者であるハニヤ氏は、モスクに出かけては礼拝後に人々の声を聞くなどしていて人気が高いが、一方、ハマスの軍事部門はファタハ系の人への人権無視の取調べをしたり、武力衝突を起こしたりしている。ハニヤ氏は軍事部門を統制することができるのか。」ということを話しておられた。

しかし、そのような軍事部門で殉教者となることを自ら選択する若者もいる。苦しい生活。その元凶がイスラエルの占領にあることはみんなわかっている。でもその現状を変えることができない。未来に希望を見出せないなか、殉教者となって天国へ行こうとする。親も知らないうちに、ハマスの軍事部門に繰り返し志願して殉教した高校生...。その生徒の先生がこう言ったそうだ。「彼のような生徒が日本に行くことができて少しでも日本を見ることができれば、目を開かれて別の道を歩んだかもしれない」...殉教する生徒はまじめで責任感の強いタイプが多いという...

このような話を聞いても、結局どうしたらいいのかはわからないのだけど...でも、「どうなっているのか」には少なくとも関心を持ち続けていたい...

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