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ビデオ「真昼の暗黒」

昨年、「それでも僕はやってない」という映画が、冤罪を扱って話題になったけど、「真昼の暗黒」は実際にあった八海事件という冤罪事件を基にしている。老夫婦が惨殺され金が奪われた。まもなく逮捕された男(役名は小島)は犯行を認めて自供したのだが、手口から見て単独犯はありえないと警察が決め付け、拷問によって自白を強要、無罪の4人を共犯に仕立て上げる。

(以下ネタバレですが、ビデオの箱の記述もネタバレになっているのでまあいいかな、と...)

控訴審で、4人の被告の弁護士が、「小島の証言どおりに犯行が行われたとすれば、どんな矛盾があるのか」ということをひとつひとつ明らかにしていき、誰の目から見ても無罪は明らかと思われた。ところがまさかの有罪判決。主犯とされた植村が「おっかさん、まだ最高裁があるんだ!」と叫ぶ場面は有名で、私も聞き知っていたけど、それでもやっぱり涙してしまった。

1956年製作のモノクロ映画。昔の映画って、セリフも音楽もちょっとぎょうぎょうしかったりするけど、この映画が実際の事件の最高裁への上告中に作られた、というのがすごい。今井正監督は、最初に自白した小島以外の4被告の無罪を確信し、「これで有罪になるなら二度と映画は撮らない」とまで言ったそうで、映画が不当判決への世論の批判を高め、最高裁での無罪判決を勝ち取るのに貢献したらしい。

裁判員制度が始まったら、「こんな映画は予断を抱かせることになる」と、少なくとも裁判員の人たちは見ることができないだろう。それでも、実際にあのような弁論が法廷で展開されたのなら、裁判員の人たちは正しい判断を下すことができるだろうと思うし、検察の味方の裁判官だけで判断を下すよりいいかもしれない...ただ、たとえば「死刑に反対」という思想を持っていると、裁判員にはなれないらしいけど、裁判員制度ってそんなのでいいのかなぁとは思う。裁判員を選定するときに、ある特定の思想をはじいてしまうのって、結局、検察の思うような裁判員しか選ばれなくなるのでは...。

今は、この映画で描かれているようなここまでひどい拷問や自白の強要はなくなっていると信じたいけど、こんなふうに無罪の人を有罪にしてしまうような裁判だってある、と思うと、死刑制度を肯定する気にはなれない。「それでも僕はやってない」が去年作られたように、冤罪が起きる可能性は現代だってなくなっていないのだ。

...全然関係ないけど、今朝、「ボビー・フィッシャー死去」という新聞記事を見てびっくり。いえ、単に、「ボビー・フィッシャーを探して」という映画を見たばかりだから、というだけですが(^^;)。ご冥福をお祈りします。

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