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ハマスとイスラエル

昨日のPARC自由学校「アメリカ離れする世界」の講師は、アラブ文学が専門で、パレスチナに関して積極的な発言を続けておられる岡真理さん。パレスチナがこんな状況になっているため、急遽、講座はオープンクラスとなり他のクラスの受講生にも開放されたので教室は満員。私は11月末、映画「ルート181」を見たときに岡さんの講演を聞いたばかりで内容的には重複することも多かったのだけど、あのとき冷静にわかりやすい解説をされていた岡さんがやや熱くなっておられて、この状況に本当に心を痛めておられることが感じられた。

(以下の文は、岡さんの話やそのほかの資料をもとに私がまとめたもので、すべて岡さんが言っておられたことではありません。)

岡さんは「イスラム教原理主義」という表現の問題について触れておられた。もともと「イスラム原理主義」というようなものはない。「キリスト教原理主義」はあり、これは聖書の文言を文字通り信仰しているグループ(と、単純に言ってはいけないのかもしれないけど。岡さんは「でも、聖書では「殺すな」と言っているのにね」と話しておられた)。wikipedia を見ても、イスラム教においてコーランの教えに忠実であろうとするグループをアメリカなどでIslamic Fundamentalism と呼ぶようになったことの訳語、と説明されている。そして「原理主義」という場合、批判的なニュアンスがこもっている、と。これは「キリスト教原理主義」という場合も同じで、こういう呼び方をすることで私たちは納得してしまうのだ。これらのグループは特殊な人たちであり、私たちとは違う。普通ではない人達、狂信的な人達は何をするかわからない、と。だからハマスの説明として「イスラム原理主義組織」とつけていたら、そこでまずその記事に対して注意してかからなければならない。

実際、ハマスはそんな狂信的なグループなのか。「イスラエルと対話の用意がある」と言っていたハマスの指導者はイスラエルによって暗殺されてしまった。イスラエルにとっては反ユダヤ主義の存在が必要なのだ。世界の人はユダヤ人を憎んでおり、いつまたナチスのホロコーストのようなことが起こるかもしれない。そのためにユダヤ国家は必要である、という論理。しかし、現実にはハマスは「封鎖をやめ、入植地から撤退すればイスラエルと対話する」と言っているのだ。テロリストたちと話をしない、と対話を拒否したのは誰だったか。

1948年、イスラエルの建国によって多数のパレスチナ難民が発生したことについて、国連は難民の即時帰還を促し、帰還を望まないパレスチナ人に対しては補償をすることをイスラエルに勧告している(国連決議194号)。しかし、イスラエルは難民の帰還を決して認めなかったし、補償もしていない。1993年のオスロ合意ではイスラエルとパレスチナが相互承認をした。しかし、現実にはその後もイスラエルはパレスチナ自治区への入植地を増やし続けた。2002年に始まったイスラエルによるヨルダン川西岸の巨大な分離壁の建設に対し、国際司法裁判所が違法判決を出したが、イスラエルはそれを無視して壁の建設を続けている。国際社会の声を無視し続けているイスラエルに対し、私たちは何もできないのだろうか。

私が疑問に思うのは、イスラエルは「ハマスを完全非武装化するまで戦い続ける」などと言っているようだけど、自分は武器を持っているのにどうして相手は持ってはいけないのか。相手に武器を捨てろというのなら、自分もそうすべきではないのか。これは核拡散防止についても思うことだ。どうして一部の国や人だけに特権が許されるのか。

こうしている間にもガザでは爆撃が続いている。現在ガザにはマスコミが入れないけれど、インターネットではガザからの声を伝えているサイトがある。たとえば、パレスチナ子どものキャンペーンでは1月15日の攻撃で逃げ惑う人の声を載せている。病院や国連施設が攻撃されていて、逃げ惑っているのは私と同じ普通の人たちだ...

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コメント

こんばんは

ガザの悲惨さは日に日に増してますね。
オバマくんがブッシュと違うんではないかというアラブ世界の期待は無残にも打ち砕かれようとしてますね。

ところで、田中宇さんも言ってますが
http://tanakanews.com/090113Gaza.htm

私が読んだ本「ゴールドと通貨の本質」
http://carlos.cocolog-nifty.com/today/2009/01/post-d63a.html

の中にも、今度のイスラエルの暴挙により、対イラン戦争の危機が生じ、原油が高騰するとあります。

これは戦争経済によって潤うアメリカの利益になる。
米政界は石油、軍需関係者と深いつながりがあるので
で、オバマくんは沈黙しているとも言われてますね。

投稿: カルロス | 2009.01.18 20:34

カルロスさん、

オバマさんが中東問題に関して発言しないのは気にかかりますね。大統領はひとりだ、と現ブッシュ大統領を尊重するような言い方をしているようですが、態度を決めかねているのだろうか、と思います。
イスラエルの一方的停戦宣言について、イスラエルはオバマ氏が就任する前に武器密輸阻止に関する覚書をアメリカととりかわして、オバマ氏になっても自国の安全保障を得ようとしたのでは、と今朝の毎日新聞は書いています。
オバマ氏に対する期待は高まっているし、だから、こんな不況下でもアメリカの雰囲気は暗くないそうで、私も期待にこたえてほしいなぁと思っていますが、どうでしょうね...

投稿: じゃりんこ | 2009.01.18 22:27

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