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本「この世でいちばん大事な「カネ」の話」by 西原理恵子

おもしろかった。西原さんの書かれた「ぼくんち」がどうしてあんなにリアルな感じがするのかがわかる気がした。波瀾万丈の人生を送ってこられた人なんだ。

この世でいちばん大事なものが「カネ」であると言っておられるわけではない。西原さんが6歳まで育った高知の小さな漁師町ではみんなが貧しかったから、誰もそれを気に留めなかった。たまに南極まで行った漁師さんが「子どものおみやげに」ってペンギンを連れて帰ってきちゃう、だから野良猫ならぬ野良ペン(^^)がいた、というそんな町。気候がよくて、食べ物に困らなければ、お金なんてそんなになくても楽しく暮らしていける。でも、おかあさんが再婚して、高知の工業団地に移り住んでからは、暮らしが一変した。町の人たちがみんな、お金がないことでカリカリしていて、父と母もお金のことでしょっちゅう喧嘩していた...

「お金の話をするのははしたない」という考え方がある。「人間はお金がすべてじゃない」「幸せはお金では買えない」そんなことを言う人はどん底の貧しさを経験していないのではないか。お金のないことが人をどれほど追い詰めてボロボロにするのか、西原さんは様々なパターンを見た、と言われる。カネの話をするのは下品だ、という教育をすることで得をする人がいるのではないか?...会社の経営者たち。従業員が従順で欲のない人であれば、それは経営者にとって都合のいいことなのではないか...なるほど、と思ってしまった。

主に中学生を対象に書かれたシリーズ本の一冊で、確かに、これから進路を考えようという若い人たちに読んでほしい本だ。お説教をしているわけじゃなく、西原さんの考え方を押しつけているのでもないけど、、個人的な体験に裏打ちされた哲学っていうのは、一般論よりもずっと説得力がある。

「人が喜んでくれる仕事っていうのは長持ちするんだよ」(p.198) 「自分に都合のいいことしか言わない。自分の国の利益になることしか流さない。それが『ニュース』って言われているものの実態じゃないかって思っている。」(p.232)

そうだよなぁ、と思う。進路について具体的なイメージを持っているようには見えないうちの長女(^^;)にも読んでみてほしい。

4652078404この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
西原 理恵子
理論社 2008-12-11

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

じゃりんこさん、議論のための議論をするつもりはありませんが、二点ほど…。

アフリカの田舎で感じていることですが、一つはお金がないからボロボロになるというよりも、お金というものなど必要がない生活にお金が入って来たからボロボロになったのかも知れないということです。 アフリカの田舎ではお金よりも前に生きていけるだけ食べるものを作れるようになりたいと思っているように見えるからです。

お金がなければみなで助け合って生きていたし、お金持ちと言ってもたいしたことがなかったのに、お金が入って来たことでトンデモナイ金持ちが出て来て、一方だから貧しい人も出て来たのではないかと…。

もう一つは「カネの話をするのが下品だ」というのが自己矛盾かも知れないということです。 実はカネが欲しい人しかそういうことを言わないとでも言うか…。 そんなことに関心がない人(関心を持たなくてもよい人?)は下品かどうか以前に話題にもしないでしょうから…。

米国で感じたのはサクセス・ストーリー信奉みたいなものだったのですが、「カネさえ儲ければ勝ち」、つまり人間性もあるいは家柄・育ち、教育など一切関係なく、カネという一つの軸で評価するという価値観でした。

「カネが下品」は既に持っている人たちが自分たちの持っているものを守るための理屈という面もあるでしょうが、そのような価値観そのものを否定したいけれど完全には否定できないでいるという人(例えば私)にとっての理屈でもあるような気はしています。

投稿: axbxcx | 2009.03.13 09:48

axbxcx さん、

そう、西原さんも、「みんなお金がない村ならお金がなくても全然平気」だと書いておられました。6歳まで育った村では、お金のことで思い悩んだことはまるでなく、いい思い出しかないそうです。だから確かに「お金がないから人がボロボロになる」というより「お金が存在するから人がボロボロになる」という面があると思います。

「カネの話をするのは下品」だと私も感じているところがあります。そんなふうに育てられてきたせいもあるだろうし、アメリカのサクセスストーリーに違和感も覚えます。「幸せはお金で買えない」とも思っています。でも、そう思うのは、ある程度安定した収入があるからなんでしょうね。本当にお金がなかったら...。

最近、「ベーシックインカム」という考え方について勉強してみたいなぁと思っています。

投稿: じゃりんこ | 2009.03.13 20:37

じゃりんこさん、統計的な話は置いておくとして、エチオピアのアムハラの田舎の農家で大きな現金収入のない人って、月に数百円くらいしかお金を扱わないと思うんです。 コーヒー豆を買うとか、塩・砂糖・油を買うとか、そんなことにしかお金を使いませんし、そういう時には採れたものを何か市場に持って行って、それを売ったお金で買う訳です。

一方、食べているものをお金に換算すれば、恐らく一家で月5千円とか1万円とか、そんな話になると思います。 つまり彼らの日常に占めるモノとカネの比率は20対1とか30対1というところでしょうか。 ところが私の場合はモノがゼロですべてカネな訳です。 まったくの虚業…。

ですからお金で換算して考えたり比較したりすること自体に意味があるかどうかわかりませんし、お金の意味がまったく違うだろうと…。 ミヒャエル・エンデや内橋克人の「金とカネ」以前の話かも知れませんが…。

投稿: axbxcx | 2009.03.14 02:14

axbxcx さんは、貨幣経済がそれほど意味をもたないところを見ておられるので、大多数の日本人とはちがった視点が持てるのだと思います。

ただ、現在の日本では貨幣経済が大きな顔をしているわけで、お金が人間を動かしていることもかなりあるというか、無視できない存在であることは確かですよね。「いちばん大事な「カネ」の話」というのは挑発的なタイトルですけど、この本、中学生向けのシリーズ本で、各本の著者に谷川俊太郎さんが巻末で同じ4つの質問をしてるらしいんです。そのうちのひとつが「何がいちばんたいせつですか?」というものですけど、西原さんは「かぞくとしごと」と答えておられます。そうなると、かなり普遍的な感じがします。もちろん、答えは人それぞれなんでしょうけどね。

投稿: じゃりんこ | 2009.03.15 00:50

うーん、難しい質問ですけれど、「生きがい」って答えるかも知れません。 じゃあ「あなたにとって生きがいとは何ですか」と訊かれたら、やっぱり「かぞくとやりたいこと」かなあ…。 私の場合、仕事と趣味や遊びの境界がないので、「やりたいこと」としか答えられないのですが…。

投稿: axbxcx | 2009.03.15 01:31

axbxcx さん、

むずかしい質問ですね。
家族も大切だけど、私にとっては、友人も同じくらい大切だし、自分に正直に生きること、とか、フェアであること、とか...ちょっと一言でうまくは答えられないです。

投稿: じゃりんこ | 2009.03.15 08:03

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