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映画「扉をたたく人」The Visitor

主人公の大学教授ウォルターを演じているリチャード・ジェンキンスは、これまでにもたくさんの映画に出演しているベテラン俳優だそうで、彼の出演作リストを見ると私が見たことのあるものも結構あるのだけど、全然印象に残っていない(^^;)。でも、そんな人がこの役をやったのがよかったんだなぁと思う。大学教授というちゃんとした仕事があって、それなりに仕事はこなしているし、趣味でピアノにとりくんでみたりもしている。でも、実は、仕事への情熱は失っていて、毎日をなんとなく過ごしているだけ。そんな彼がニューヨークに出張することになり、ニューヨークの別宅を訪れたところ、なんと自分の家に見知らぬカップルが暮らしていた...。

この青年タレクはシリア出身、その彼女はセネガルの出身で、ふたりとも不法滞在者だった。うまい話にだまされていたことに気づいたふたりは、おとなしく家を出ていくが、行先のない彼らを気の毒に思ったウォルターは彼らを少し泊めてやることにする。

レポートの提出が遅れた学生に同情することもないし、同僚の頼みにもなかな首をたてにふらない。そんなウォルターがどうしてここで仏心を起こしたのかわからないが、人間ってそんなものだろう。妻に先立たれてしばらく一人暮らしをしていたウォルターは、人の気配のするアパートに入って、誰かと一緒に暮らすことの心地よさを少し思い出したのかもしれない。リチャード・ジェンキンスの演じるウォルターは、どこにでもいる普通の人という感じで、すごく自然だ。これがクリント・イーストウッドとかロビン・ウィリアムズとかだったら、俳優の個性が強すぎて、映画の印象がずいぶん変わっていただろう。

青年はジャンベというアフリカンドラムの奏者で、一緒に暮らすうちに、ウォルターもジャンベの魅力にとりつかれていく。そう、音楽にはそういう魅力があるんだよなぁ、と思う。

映画を観終わった後、やりきれない感じはあるのだけど、心に残る作品だった、
それにしても、今年は、年とった人が主人公のものが多いというか、そういう作品に私が惹かれている、ということなのかなぁ。

印象に残った場面は(以下ネタバレあり)

タレクが入国管理局の拘置所に収容されて何日もが過ぎ、いつどこへ移されるかの予想もつかない、という毎日の中で、収容生活の息詰まるつらさを面会に来たウォルターに話す。ウォルターは「わかるよ」と言うのだが、タレクは「外にいるあなたに何がわかるんだ」と言ってしまう。タレクだって、ウォルターに感謝しているし、ウォルターが悪いわけじゃないことだってわかっている。そのことにすぐ気がついたけど、でも、どうしようもなくいらついている自分がいる。目を赤くするタレクを見て本当につらくなってしまった。

タレクがウォルターにFELAというアーチストのCDを渡す場面がある。ここを見て、あ、と思った。家族でアメリカに行ったとき(1998年)、夫がたまたま見つけて買ったのがFELAのライブビデオだった。私は全然知らない人だったが、夫はうれしそうだった。で、なつかしくなって、昨日、出して見てみたけど、私にはあまりおもしろくなくて結局 30分でやめてしまった(^^;)。映画の中でのジャンベの演奏は気持ちよかったんだけどな。

ウォルターとモーナの淡い恋も...やっぱりそういう人がいると人生の充実感は違うよなぁと思う。「命短し、恋せよ、乙女以外の人も!」かな(^^)。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

じゃりんこさん、私も歳だなあと思います。 今年観た中で、これまでのところ一番気に入ったのがこれかも知れません。 沢木耕太郎が珍しく?邦題を褒めてましたけれど、確かに"The Visitor"よりも「扉をたたく人」の方が深いですね。

インタビュー記事で、リチャード・ジェンキンスが「自分がいないと撮影が始まらないということに戸惑った」というようなことを言っているのがちょっとおかしかったです。

そしてヒアム・アッバス。 これと「シリアの花嫁」で大ファンになりました。 こちらも、これまではあまり印象に残らない女優さんだったのですが…。

結局のところ、いわゆるハリウッドよりも、インディーズの方が当たりの映画がずっと多いという、まあ当たり前かも知れませんが…。

投稿: axbxcx | 2009.08.11 05:13

axbxcx さん、

確かに「扉をたたく人」という邦題のほうが、The Visitor よりも深い感じがしますけど、そう言いかえてしまうことによって失われてしまう意味もあるような気がして...ちょっと後で書きます。

ヒアム・アッバス、よかったですね。 年をとっても女性は素敵でいられるんだなぁと思いました。でも、リチャード・ジェンキンスにしても、ヒアム・アッバスにしても、こうやって光があたらないと、なかなか私たちはその良さに気づかなかったりするんだなぁと思ったりもしました。そういう意味で、リチャード・ジェンキンスを起用したトーマス・マッカーシーという監督は、やはり見る目がある人なのかもしれないなぁと思います。

投稿: じゃりんこ | 2009.08.11 08:25

「ゴールデンタイトル・アワード」なんてものがあるとは知りませんでしたが、「扉をたたく人」って、やっぱり印象の強いタイトルなんでしょうね。

http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=8879

今日は「縞模様のパジャマの少年」を観て来ました。 佳作だと思いますし、真面目に作った映画という感じはしましたが、得意な映画ではありませんでした。 一人一人の人物像が浮かんで来ないような映画は苦手です。

投稿: axbxcx | 2009.08.20 22:59

axbxcx さん、

そんな賞があるんですね。

「日本では、"A person who knocks a door" というタイトルになっています」と監督に言ったら、案外気にいってくれるかもしれませんね。ただ、こう英訳してしまうと、The Visitor よりも広がりがなくなってしまう感じがします。言葉っておもしろいですね。

「縞模様のパジャマの少年」は、映画館で予告編を見ましたが、まあ、映画館で見なくてもいいかな、と思いました。これ、タイトルがいまいちですよね(^^;)。せめて「パジャマの少年」くらいにすればよかったのではないか、と思ってしまいます。映画を見ていないので、縞模様というところに大きな意味があるのかどうかは知らないのですが。

投稿: じゃりんこ | 2009.08.20 23:38

じゃりんこさん、knock、doorと聞くと、"Knockin' on Heaven's Door"が自動的に頭に浮かんでしまいます。

縞模様に意味があるので、まあ仕方がないでしょう。 原作も"The Boy in the Striped Pajamas"です。 気になるところがいろいろあったので原作を読もうと思っています。

投稿: axbxcx | 2009.08.21 15:11

axbxcx さん、

うーん、その歌は知らないです。ボブ・ディランなんですね。

そうですか、縞模様に意味があるんですね。映画を見た後で、もっとふさわしいタイトルがないか考えてみます^^。

投稿: じゃりんこ | 2009.08.21 20:17

じゃりんこさん、同名(ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア)のドイツ映画も結構好きだったりします。

投稿: axbxcx | 2009.08.22 00:12

axbxcx さん、

ほんとだ、映画もあるんですね。アマゾンですごい高評価になってて、ファンの多い映画のようですね。
ディスカス、しばらく休会していたのですが、そろそろ再開しようかな、と思っています。これも予約リストに入れました^^。

投稿: じゃりんこ | 2009.08.22 01:16

じゃりんこさん、そうでしたか。 「グッバイ、レーニン!」とか「ベルリン 僕らの革命」みたいなドイツ映画も結構好きです。 Konckin On Heaven's Doorは、エリック・クラプトンも歌ってましたが、アンジェラ・アキも日本語で歌ってますね。

投稿: axbxcx | 2009.08.22 05:22

axbxcx さん、

ドイツ映画、結構おもしろいものがありますよね。
今やっているのだと「バーダー・マインホフ」というのを見たいな、と思っていますが、たぶん、DVD になってから見ると思います。

ディスカスを休会していたのは、シネフィルイマジカという映画チャンネルに加入して、録りためた作品がたまってしまったためです。まだいっぱいあるんですけど(^^;)、そろそろDVD化された新作で見たいものもいろいろあるので。「僕がいない場所」、ようやくDVD化されるようですね^^。レンタル化されることを期待しています。

投稿: じゃりんこ | 2009.08.22 07:55

Djembe、比較的新しい話題だったのですね(o^-^o)
打面はひとつなのだけど、叩き方や叩く場所で
いろんな音が出ます。
結構大きい音が出るので家では練習をほとんどしませんが(^^;

じゃりんこさんの映画の話、楽しく読ませてもろてます^^
でも自分が実際に見るのは、息子が借りてくる
トランスフォーマーだったり20世紀少年だったりします(^^;

投稿: ぴよ♪ | 2009.08.30 19:03

ぴよ♪さん、

なんと、ぴよ♪さんがジャンベをやっていたなんて(^^)。
しかも、そのジャンベの持ち主にもびっくりです。
なんかうらやましいー(^______^)。

ジャンベをやってるなら、この映画はぜひ見てくださいね。
上映館が少ないのでわざわざ見に行くのは大変だと思う(今だと京都シネマで9月11日までやってるみたいだけど、ちょっと遠いね)けど、DVDになったらぜひぜひ。ジャンベがとても魅力的にみえる映画です。それだけじゃなく、映画としても、私はおもしろいと思いました。

キューバで小さなコンガを買ったときも、お店の人がたたくといい音がするのに、私がたたいても貧相な音しかでないので、どうしたらいいのかちょっと教えてもらいました。たたく場所によって響きがずいぶん変わるんだよね。ジャンベはそのコンガよりずっと大きいし、違いももっとありそうだなぁ。今度、機会があったらさわらせてくださいm(^^)m。

投稿: じゃりんこ | 2009.08.30 20:14

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