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映画「マイレージ、マイライフ」Up in the Air

主人公のライアン(ジョージ・クルーニー)は、度胸のない経営者に代わって従業員にリストラを宣告するという、おおよそ普通の感覚の持ち主にはやりたくない職業に就いている。この仕事のために全国を飛行機で飛びまわる生活。しかし、彼はこの暮らしが気に入っていた。マイレージをためることが彼の生きがいなのだ...

愛にあふれた家庭生活。そんなものは重荷でしかない、という哲学の持ち主の彼が、VIP特権を利用して飛行機や高級ホテルを利用している様は、エコノミーに乗るのだって精一杯の私にとって、現実感がなく、共感できるはずもない。まして、人にリストラ宣告をすることに良心の呵責を感じる様子もない彼に...。そんな彼が、自分と同じように旅慣れた女性アレックス(ヴェラ・ファーミガ)に出会う。彼らが交わす会話は、おしゃれで可笑しいものだったけど、やっぱりどこか遠い世界の話という感じで...

と、思いながら見ていたら、途中からなかなかおもしろくなってきた。アカデミー賞の脚色賞にノミネートされている、というのもうなずける。若干、都合のいい作りになっているところもあるけど、退屈することのない展開だった。

ライアンが話すのを聞いていて、上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」を思い出した。「孤独じゃないよ、いつも人に囲まれている」「死ぬ時はどうせひとりだ」...合理的な生き方を求めればそういうことになるのかもしれない。ただ、非生産的で、非合理的な関係も、そんなに悪いものではないのかもしれない。

一番おおっと思ったところは(以下、完全ネタバレなので、この映画を見るつもりの人は読まないほうがいいです)

ライアンがアレックスの家を訪ねる場面。いつものとおり、「バックパックを空にして颯爽と生きよう」というライフスタイルを説く講演をする予定で壇上にあがったライアンは、「からっぽのバックパック。はたしてそれでいいのか」という思いに突き動かされ、講演を途中で放り出してシカゴのアレックスを訪ねる。そこで彼が見たものは...

アレックスは、頭がよく、ユーモアがあり、優しさも美しさも兼ね備えたかっこいい女性...というふうに見えていたけど、現実を知ると幻滅してしまう。彼女の現実に幻滅するのではなく、現実の生活が素敵なものなのに、それから逃げている姿に幻滅してしまう。

おもしろい作品だったけれど、日本に住んでいる私にはやはりあまり現実感が感じられなかったのも事実。そもそもリストラ宣告人なんていう職業が本当にあるんだろうか。あるのかもしれないけど...上司ではない人に突然そんなことを言われても受け入れられないのが当然だろう。私だって、もしそんなことになれば、何を言われようと、上司に直接話を聞きに行く。妹の彼氏が結婚式の当日に「結婚をとりやめる」と言いだし、ライアンに説得される、というのも...。「結婚していない人のほうが幸せそうに見える」という彼氏のセリフはなかなかいいところをついている。ナタリーも、心理学を学んだ人でありながら、解雇というものがどういうものかまるでわかっていないふうなのがなんとも...

それでも、ライアンが自分の哲学に疑問を持ったこと、そして、ナタリーのために一肌脱いでやろうとする姿に、ちょっとほっとした。

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コメント

この映画見てみたいhappy01
機内にはマイレッジのアップグレードがいっぱいいるし、私の友達にもすごいマイラーさんがいるんだよ。
彼女、そんなに飛行機に乗っているわけじゃないけどいろいろな手を駆使していっぱいためているの。
やっぱり頭がいいんだろうなって思います。

投稿: Kanani | 2010.02.28 09:44

そっか、Kanani さんが見たら私以上におもしろいだろうなぁ^^。アメリカの都市を飛行機で飛びまわる、という設定なので、飛行機から見た空港の様子がいろいろ映し出されるし...。私も飛行機に乗るときは、だいたい旅にでかけるときだから、うきうきしているし、私にはそういう点でも楽しい映画でした^^。

「マイレージカードを持っている人限定」っていう試写会で見たんだけど、上映前に、「マイレージの超達人」という著書のある桜井さんという方がマイル獲得の裏技について話してくださいました。そんなすごい裏技っていう感じではなかったけど...(^^;)。「目標を持つ」ことが大事なんだそうです。私もわりと漫然とマイルをためているので、もう少し具体的に使い方を研究したほうがいいのかな、と思いました。

投稿: じゃりんこ | 2010.02.28 10:44

もうすぐ私は貯まったマイルで飛びます。ふふふ

それはともかく、この映画はそういう映画なんですか。へええ。NHKで“リストラ請負人”が主人公のドラマが放送されてますね。なんか登場人物のキャラ設定やストーリー展開が似てる気がしますけど、、、アメリカでも日本でも同じような問題が起きてるってことなんでしょうかねええ。

投稿: tabe | 2010.03.03 14:35

tabe さん、

え、NHKでもそんなドラマやってるんだ。知らなかった。実際、そんな仕事あるんですかね。でも、首を切られるほうが、「俺は仕事がなくなって、あんたはこれをすることでたんまりお金もらって、そんなのひどいじゃないか」みたいセリフが映画の中にあったんですけど、そうだよなーと思います。

で、またマイレージで飛ぶの?いいなー。お土産話、楽しみにしてます^^。

投稿: じゃりんこ | 2010.03.03 20:37

NHKの「君たちに明日はない」は、それほどセレブ感を強調しているわけじゃないですけどね。どちらかというと冷淡になりきれない主人公の葛藤が物語の中心です。

実際にあるのかと言うと、、、こんな記事を見つけました。http://www.tokyo-sports.co.jp/hamidashi.php?hid=7177

> 「俺は仕事がなくなって、あんたはこれをすることでたんまりお金もらって、そんなのひどいじゃないか」

リストラするのって「ヒドイ」と言えば「ヒドイ」んですが、それは会社がヒドイんで、内部の人間であろうと外部の人間であろうと、リストラ担当者を責めても可哀想な気がしなくはないです。。。
まあ、映画のシーンの背景や繋がりを理解してないので、アレなんですが。


びゅーーーんと行ってきま〜す。お土産で“オモシロイモノ”は無さそうな国なんですけど、何か探してきますね〜happy01

投稿: tabe | 2010.03.03 22:34

tabe さん、

おお、こういうことが知りたかったのよ。
ほんとにあるのね、リストラ請負人。
記事の紹介ありがとう^^。

リストラする会社がひどいかというと、会社だってまあリストラしたいわけじゃない、というところもあるだろうし、それをつらいと感じてるから請負人に頼んだりするわけで...つらいともなんとも感じてないように見える人に言われたらハラはたつでしょうね。っていうか、自分に解雇宣告をする人と自分との経済力の差を実感したら文句は言いたくなる気がする。

あ、お土産話だけじゃなくお土産も期待できるのか、ふふ^^。「お土産で“オモシロイモノ”は無さそうな国」ってところがまた期待をそそるなぁ^^。旅の無事をお祈りしております。でもっておもしろい旅でありますように(^^)。

投稿: じゃりんこ | 2010.03.03 23:06

昨日、アディスアベバ~ドバイ間でこの映画観ました。(ドバイ~関空はBlind Side) まあ可もなく不可もなしというところでしょうか。

私のように仕事でマイレージが貯まるというのは、グレーゾーンだろうなあと思います。 会社で召し上げというところも増えて来ているのではないでしょうか。

真面目に観ていなかったので確信がないのですが、主人公は他の特典は使っても、マイレージを自分では使わないのかと思っていました。 それで1千万マイル貯めたのかなあと。 航空会社によっては期限がありますから、それでは1千万マイルは不可能かも知れませんが…。

私の場合はすぐに使ってしまいますけれど、それでも瞬間的には35万マイルくらいは貯まっていたことがあります。

今回、エミレーツはアディスアベバ~ドバイもドバイ~関空も新しい機材でした。 何だか使う度に新しい機材になっているような…。 そんなに儲かってるんですかねえ。

投稿: axbxcx | 2010.03.19 13:58

あ、axbxcx さん、おかえりなさい(^^)。

可もなく不可もなく...まあ、そうですかね。私、結構、ジョージ・クルーニー好きなんだろうな、と思います。

アメリカ系の航空会社は、マイルの加算がある限りは続けてためられる、というところが多いような気がします。というわけで、私もアメリカ系の航空会社のマイレージをためていますが、飛行機に乗るのがそんなに多いわけじゃないのでなかなかたまりません(^^;)。使い方もよくわかっていません(^^;)。

ドバイは結構人気の観光地になっているようですから、エミレーツももうかっているのかもしれませんね。私もロンドンにいた長年のペンパルが去年アブダビに引っ越したので、行ってみたいなぁと思っていたりします^^。

投稿: じゃりんこ | 2010.03.19 16:08

じゃりんこさん、アフリカに行く場合、南部アフリカを除いてほとんどドバイ経由ばかりです。 とにかく便利ですから…。 エミレーツは春からようやく成田に入りますから、もっとお客が増えるのではないでしょうか。 関空~ドバイはいつも満員でした。

私もデルタのマイレージには入っています。 昔はアフリカに行くのにKLMを使っていたのですが、KLMは日本在住だと会員になれないのでノースウェストで入り、それがデルタになりました。 2008年にコロラドの友人のところへ行ったのはノースウェストのマイレージです。 

投稿: axbxcx | 2010.03.21 10:53

axbxcx さん、

アブダビに引っ越した友人に、「アブダビに行くなら、その前にアラビア語をもう少し勉強したいわ」と言ったら、「実のところ英語だけで平気よ。アラビア語なんてほとんど聞かないわ」と言っていたし、UAEは洗練されたおしゃれな観光地という感じになっているのかなーと想像しています。

私もノースウェストのマイレージをためていたんですが、デルタになりましたね。まだ使ったことはありません。アメリカ往復がマイルだけでできるまでにはもう少しためる必要がありそうです。

投稿: じゃりんこ | 2010.03.21 20:34

じゃりんこさん、私の印象はおしゃれな観光地と言うよりもビジネスの町、そして働いている人はフィリピンやらネパールなどアジアからの出稼ぎばかりというものです。 店員さんなどでアラビア語がしゃべれる人はむしろ少ないのではないでしょうか。

エミレーツはラウンジが豪華です。 米国の空港はインターネットさえ有料のところが多くなって、ビジネスクラスのラウンジでも暖かい料理が出ないのが普通になっていますが、ドバイの空港はどこでもインターネットができて、誰でも無料で食べられるフードコートがありますし、ビジネスクラスのラウンジにはハーゲンダッツのアイスクリームもあります。

知る限りでラウンジのメニューが一番豊富なのはエミレーツのドバイとキャセイパシフィックの香港(特に麺類! ここもハーゲンダッツがあります)だと思います。

投稿: axbxcx | 2010.03.22 00:29

axbxcx さん、

そういえば友人がアブダビに引っ越したのも、ご主人の仕事の関係でした。そして働いているのはフィリピン人とかタイ人とか外国人ばかりよ、とも言っていました。

航空会社のラウンジって使ったことがありません。誰でも無料で食べられるフードコートっていいですね^^。

投稿: じゃりんこ | 2010.03.22 17:50

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