« ツイッター | トップページ | フルート »

ビデオ「マチュカ 僕らと革命」Machuca

ツイッター上で、友人が絶賛していたので、DVDを借りて見た。うん、確かに。この映画が 「Yahoo 映画」にも、「ぴあ映画生活」にも登録されていないなんてちょっと驚き。私にとっては、感動する...というのではなかったけど、70年代のチリ社会の混乱が、そこに生きる子どもと大人の生活を通して描かれているのがおもしろい。

チリのことってほとんど何も知らない(^^;)。映画「モーターサイクルダイアリーズ」で、チリに入国するときに、アルベルトが「チリー!」と叫んでいたこと、「チリには美人が多いんだ」なんて言っていたこと。「セプテンバー11」という映画 で、1973年のチリで「もうひとつの9・11」があったのだ、と知ったことくらいか。そして、この「マチュカ」はまさにその「もうひとつの9・11」の時代を描いている。

「マチュカ」は少年の名前。当時のチリ(今も?)は富裕な人と貧しい人の差が歴然としていたようだ。マチュカは先住民族の子どもで、貧しい家に住んでいる。そんな彼が、アジェンデ社会主義政権下で、すべての子どもに教育を、と願う神父の経営する学校に入学を許可される。学校には裕福な家庭の子どもたちが通っていて、貧しい子どもたちとすんなりと仲良くなれない雰囲気があったが、そんななか、裕福な家庭の少年ゴンサロはマチュカと親しくなっていく。

アジェンデ社会主義政権とか、ピノチェト独裁政権とか、文で読んでも頭をすりぬけてしまうけれど、こうして映像になると、少しはイメージがつかめる。映画が現実をどれくらい反映しているのかどうかはわからないが、インターネットムービーデータベースのコメントで、チリ在住の方が、「服装から落書きにいたるまで、当時の世相を正確に映し出している」と書いておられたから、社会背景はかなり現実的なものなのだろう。大人社会ではあんなことが行われていたのか(ゴンサロの母親の行動)とか、ゴンサロとマチュカが、マチュカの隣人の女の子と3人で仲良くしている様子などはどのくらい現実感があるのかはやっぱりわからないけど、ほほえましい感じではある。

印象的なシーンはいくつかあるが、特に私が好きだったのは(以下ネタバレ)

神父である校長が軍事政権によって学校をやめさせられ、それでも、子どもたちの朝会の場にやってくる。そこで聖体を食べ、「ここにはもう神はいない」と言って去っていこうとする。そこでマチュカが立ち上がり、「さよなら、マッケンロー神父」と声をかける場面。「マッケンロー神父のことは金輪際口にするな」と軍人が訓示を垂れたばかりだ。マチュカの行動を見て、他の子どもたちも立ち上がる...

しかし、最後がなんともせつない。きれいごとにしないのがいい映画なのかもしれないけど、なんかやっぱりつらい映画だ。

少し前に「太陽のかけら」というメキシコ映画をDVDで見たけど、その映画のなかでも、裕福な家庭に雇われている先住民の家族が登場していた。そして、ガエル・ガルシア・ベルナル演じる主人公が、その使用人の青年に向かって「インディオ!」と侮蔑的に叫ぶ場面がある。

「中南米では、アメリカ合衆国と違って、人種間の融合が進んだ」などと言われたりするけど、必ずしも、そんな簡単に言い切れるものでもないようだ。

|

« ツイッター | トップページ | フルート »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんな映画があったんですね、観てみたいです。

私の方はようやく「カティンの森」を観たら、2日後に墜落事故が起こってしまい、衝撃を受けました。

人種間の融合について、国によってかなり違うのではないかと想像しています。 私の知っているのはメキシコ、ジャマイカとドミニカ共和国だけですが、それぞれ相当違うと感じました。 そしてキューバはドミニカ共和国よりももっと人と人の間の距離が近いと聞いているので、是非行ってみたいと思っています。

投稿: axbxcx | 2010.04.12 00:59

axbxcx さん、

ぜひご覧になってみてください。
結構、気に入られるのでは、と思います^^。
中南米が舞台の映画っておもしろいものが多いような。

カティンの森もつらい映画でしたね...

キューバで人と人の距離が近いか、というのは短期間首都に滞在しただけの私にはなんともいえませんが、貧富の差はあまりない感じでしたね。
映画で見る限り、メキシコやチリは貧富の差が激しそうですが、キューバにはそんな感じがありませんでした。

投稿: じゃりんこ | 2010.04.12 01:22

私はドミニカ共和国とジャマイカとのあまりの違いに愕然としました。 それで「カリブの国は~」という仮説を捨てました。

「カティンの森」、監督の強い意志を感じました。 ワイダ監督のこれまでの映画はすべて再評価する必要があるのではないかとも思いました。

YouTubeのcollateral murderはご覧になりましたか? 戦場ではこういうことが毎日、いや毎時起こっているのではないかとゾッとしました。

投稿: axbxcx | 2010.04.12 23:33

axbxcx さん、

「中南米」とか「カリブ海」とかってくくってしまってはいけないんですね。

「カティンの森」は正直、私にはちょっと消化不良ぎみでした。でも、ワイダ監督には、自分が作らなければ、という使命感があったのでしょうね。

collateral murder は見ていません。巻き添え殺人...ですか。あるんでしょうねぇ...

投稿: じゃりんこ | 2010.04.13 01:33

じゃりんこさん、ワイダ監督のお父さんがカティンで亡くなったということもあるでしょうが、ワルシャワ蜂起のことなども含めて、映画を作り始めた当初から、スターリン体制に対する強い気持ちを表現されていたのだと思います。 ただ日本人にはそれがわからなかったということでしょう。

奇しくもバンコクでまた悲劇が起こってしまいましたが、YouTubeは2007年にロイターのイラク人カメラマン2人が亡くなったときのものです。 CNNの記事にもなっていましたから、信頼性は高いと思います。

投稿: axbxcx | 2010.04.13 07:54

追伸です。 映像からは「巻き添え殺人」とはとても思えず、それが問題です。 兵士たちがしゃべっている内容や反応から、どんな状態で戦場に立っているかがわかるような気がします。 「普通の人たち」がそうなってしまうというのが、戦場の怖いところなのでしょう。

投稿: axbxcx | 2010.04.13 07:58

axbxcx さん、

おっしゃっている YouTube の作品はこれですか?

http://www.youtube.com/watch?v=5rXPrfnU3G0

ちょっとあまりうまく再生されなくて、どうも
見ようという気になれなくて...(^^;)。

戦場には独特の空気感というのはあるのでしょうね...

投稿: じゃりんこ | 2010.04.13 20:07

じゃりんこさん、そうです。 もちろん無理にご覧になる必要はありません。

ただ、どう見ても武器など持っていない人を武装していると判断するところや、瀕死の状態で地面を這っている人までも兵士が撃ちたくて仕方がない様子、倒れている人を装甲車が轢くを見て笑うところ、また「子どもを戦場に連れ込む奴が悪い」というような自己弁護をするところなど、戦場とはそういうものかと改めて思いました。

投稿: axbxcx | 2010.04.13 22:13

axbxcx さん、

ハートロッカー、勇者たちの戦場、告発のとき、など、戦場の様子を描いた映画はいくつか見ていますが、確かに戦場の雰囲気が普通の人を変えてしまう、というところはあるのだろうな、と思います。映画ですから、実際と同じというわけではないでしょうが...。

collateral murder、気力のあるときに(^^;)見てみようと思います。

投稿: じゃりんこ | 2010.04.13 22:37

聖体を食べるって、パンを食べることなのかな?

投稿: chappy | 2010.04.17 21:38

chappy,

そうです^^。
chappy の映画の好みはよく知らないから、これがおすすめかどうかはいえないけど...「チリってこんな国なんだ」、っていうのはおもしろいかも^^。

投稿: じゃりんこ | 2010.04.17 21:42

あのラスト、じゃりんこさんはダメかなあと思ったのですが、やはり。。。私はあのラストが好きです。というか、あのラストを描くための物語りだったのではないかと思っています。主人公はゴンサロなのにタイトルは「マチュカ」だし。まあ、僕らの革命は失敗したのでしょうが。。。。。

投稿: tabe | 2010.04.23 00:24

tabe さん、

おもしろい作品の紹介、ありがとうね^^。

うん...作品がダメ、というのじゃないけど、なんかつらいなぁ、と思う。「ちょっとケン・ローチ」っていうのがなるほど、と思いました。

tabe さんには、私がどう感じるか、かなり読まれてるみたいですね(^^;)。空気人形、私はやっぱり、そんなに好きじゃなかったです(^^;)。

タイトルがマチュカの理由とか...も聞きたいな。
また今度教えてください(^^)。

投稿: じゃりんこ | 2010.04.23 00:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/17663/48052274

この記事へのトラックバック一覧です: ビデオ「マチュカ 僕らと革命」Machuca:

« ツイッター | トップページ | フルート »