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本「新版 原発を考える50話」by 西尾漠

どうして原発に反対するのか。原発は十分安全に管理されている。自分だってたくさん電気を使っているのに、原発がないと日本で文化的な生活を送ることはできないんじゃないのか。そういう意見にきちんと反論できなくて、もっと勉強する必要があるなぁと思った。そして大変参考になったのがこの本だ。どうして原発を推進すべきでないのか、ということを人に説明できるように、この本からの記事を主として、まとめたいと思う。

まず、
1:原発を動かすことで発生するゴミの処理方法が確立していない。
 原発から出る放射性廃棄物は危険で、簡単には捨てることができない。海に捨てるにしても地中深く埋めるにしても、放射能のレベルが下がるまでには長い年月がかかり、そのようなゴミを引き受けるところはない。原発はゴミの処理を後回しにして建設が進められてきたという実態がある。「トイレなきマンション」といわれているそうだ。

2:原発を動かすことで核兵器の材料が作り出される。
 核兵器の材料となる高濃縮ウランとプルトニウムの生産を禁止しようという条約が遅遅としてではあるが続けられている。しかし、日本のように、プルトニウムの平和利用を主張する国があると、大きな抜け道ができてしまう。現実にはプルトニウムをエネルギー源として利用することはかなりむずかしいのだから、核兵器に使えるすべての核物質の生産を禁止するべきだ。万一、戦争が起きたときには原発は恰好の標的となる。

3:地震国日本で原発を建設するのは危険
 原発は大量の冷却水と広い敷地を必要とするため、海岸地帯の地盤の悪い所にしか建てられない。安全装置を何重にもしたとしても、巨大地震が起きたときにはそれがきちんと働かない可能性がある。

4:計画被曝の問題
 一般の人が一年間に浴びてもよいと法令で定められている被曝量は1ミリシーベルト。しかし、原発で働いている人の場合は、5年間で100ミリシーベルトまたは年間で50ミリシーベルト。自然界でも放射線は存在する(参考 ウィキペディア:自然放射線 )が、そもそもどの程度なら安全なのかという明確な基準はない。にしても、原発で働く人が一般の人の20倍以上もの被曝をしていい、というのはおかしな話だ。原発はこうした働く人たちの「計画被曝」なしには動かない。そして緊急時にはさらに高い値まで要請することが許されている(「原子力とどうつきあうか」p.85)というのだが(たぶんこれは、年間50ミリシーベルトを上限として、ということだとは思うが)、これだけの被曝をして安全であるという保証はどこにあるのか。「原子力とどうつきあうか」は、JCO臨界事故に関わった住田健二氏による記録で、住田氏は「それでも日本に原発は必要だ」と主張されている。しかし、危険な現場に誰が行くのか、ということでもめる場面は生々しく、今後の検討課題と書いておられるが、原発で働く人はいざとなったら自分の身体をも犠牲にしなければならないというのだろうか。
 
5:原発の燃料は国産ではない。
 日本国内に燃料として使える自国産出のウランはなく、100パーセントが輸入品である。使用済み核燃料を使って発電を行うことが可能だとされているので高速増殖炉が本当にできれば準国産くらいは言えるかもしれないが、その見込みもたっていない。
 「石油はあと40年しかもたないが、ウランなら60年以上」というのは、資源の確認埋蔵量を年間の生産量で割ったものであり、使用量の多い石油は40年しかもたないが、使用量の少ないウランは60年持つ、ということであり、埋蔵量そのものは石油のほうが多い。

6:電気は足りないのか
 日本の電気の30パーセント以上は原発で発電しているとされているが、その陰で火力・水力発電所が休止させられており、火力・水力発電所を十分に動かせば、必要な電気の供給は十分にできる。ただ、夏の暑い時期は電力需要が火力・水力の発電能力を超えてしまう。この一年のうち数日、そのうちの数時間が電力需要のピークなのだが、この電力をうまく削ってやることができれば、他の時はたっぷり余裕がある。東京電力ではトラブル隠し発覚事件により、17基の原発を止めなければならなかったことがあったが、電力供給に支障は起きなかった。電力会社では恒常的に「需要開拓」が行われている。

7:原発は地球温暖化防止に役立たない
 電力需要の小さい時、火力発電所などは出力を下げて運転したり、運転を休んだりできるけれど、原発は出力を細かく調整することができないため、原発を増やすときには、揚水発電所(余った電気の捨て場所となる)や、小回りのきく火力や水力発電所が必要となる。原発に頼った温暖化対策は、エネルギーの大量消費がこれからも続けられるとの誤解を与え、本来行うべき対策を遅らせる。それよりも、エネルギーの効率的利用、自然エネルギーの活用などを考えるべきだ。

まだまだ私の中で十分消化しきれていないけれど、やっぱり原発推進という方向は間違っていると思う。
この著者の書かれていることに間違いがあるのなら教えてください。私もまた勉強していきたいと思います。

4005005292新版 原発を考える50話 (岩波ジュニア新書)
西尾 漠
岩波書店 2006-02

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